3Dモデルを動画にしてSNSに投稿したいときの定番は、モデルを一定の速度でぐるりと回した数秒の「ターンテーブル動画」です。作り方は大きく3通りあり、ビューアで回しながら画面を収録する方法、3Dソフトでターンテーブルレンダリングを書き出す方法、動画の書き出し機能を持つサービスを使う方法に分かれます。この記事では、それぞれの手順と、投稿前に確認したい形式、見栄えを整えるコツをまとめます。
※現在のFigmeeは、アップロードした絵やイラストからフィギュア風画像と3Dモデルデータ(GLB / 3MF)を生成・ダウンロードできるサービスです。実物の3Dプリント品の販売は準備中(Coming Soon)です。
なぜ3Dモデルは「回して」見せるのか
3Dモデルを静止画1枚で投稿すると、見る人にはイラストとの違いが伝わりません。正面のシルエットと色だけを切り取ってしまうと、立体として作った意味のある情報 — 厚み、側面のかたち、背面の処理 — がすべて画面の外に出てしまうからです。
数秒回すだけで、その情報が一度に伝わります。ターンテーブル動画は3D作品の紹介で古くから使われている見せ方で、次の3つを同時に伝えられるのが強みです。
- 奥行きと厚み:正面からは分からない前後方向のボリューム。
- 背面と側面:作り込んだ部分、あるいは省略した部分がそのまま見える。
- 素材の印象:光が当たる角度が変わることで、表面のツヤやマットさが伝わる。
一方で、回転動画は「情報を出しすぎる」見せ方でもあります。背面を作り込んでいないモデルは、回した瞬間にそれが分かります。投稿前に一度自分で最後まで再生し、見せたくない角度が入っていないかを確認しておくと安心です。
3つの作り方を比べる
同じターンテーブル動画でも、必要なものと仕上がりは方法によって変わります。
| 方法 | 必要なもの | 手間の目安 | 画質のコントロール | 向いている場面 |
|---|---|---|---|---|
| ビューアの画面収録 | 3Dビューア+端末の画面収録機能 | 5分前後 | 低(画面に映るものがそのまま入る) | とにかく早く1本出したいとき |
| 3Dソフトのレンダリング | Blender等の3Dソフト+操作の習得 | 30分〜数時間 | 高(解像度・ライト・背景を指定できる) | 作品集や告知用に品質を上げたいとき |
| 書き出し機能つきサービス | 対応サービスのアカウント | 1〜3分 | 中(サービスが決めた設定の範囲) | 決まった形で定期的に出したいとき |
「どれが正解」ではなく、投稿の目的で選ぶのが実際的です。日々の進捗報告なら画面収録で十分ですし、通販ページやポートフォリオに載せるなら、背景とライトを制御できるレンダリングに分があります。
方法1: ビューアで回しながら画面収録する
いちばん手数が少ない方法です。ブラウザやスマホのビューアで3Dモデルを開き、指またはマウスで回しながら、端末の画面収録機能で撮ります。
- 3Dモデルをビューアで開く(目安:1分)— GLB形式ならブラウザで開けるビューアが複数あります。開き方は無料で3Dモデルを見る方法5選にまとめています。
- 表示を整える(目安:2分)— 背景を無地にし、モデルが画面の中央に収まる大きさに調整します。UIパネルは可能な範囲で閉じておきます。
- 画面収録を開始する(目安:10秒)— スマホなら画面収録機能、PCなら標準の収録機能や収録ソフトを使います。
- 一定の速度で1〜2周させる(目安:10秒)— 手で回す場合は、途中で止めたり速度を変えたりしないほうがきれいに見えます。
- 不要な前後をトリミングする(目安:3分)— 録画開始と終了の操作が映った部分を切り落とします。
注意点:この方法は「画面に映っているものがそのまま入る」ため、通知バナー、カーソル、ビューアのロゴやボタンが写り込みがちです。投稿前に必ず全編を再生して確認してください。また手で回すと速度が揺れるので、自動回転機能があるビューアならそちらを使うほうが安定します。
方法2: 3Dソフトでターンテーブルレンダリングを書き出す
品質を作り込みたいときは、3Dソフト上でカメラかモデルを回転させ、連番画像または動画としてレンダリングします。無料で使えるBlenderのような統合型の3Dソフトが代表的です。
- 3Dモデルを読み込む(目安:5分)— GLB / glTF は多くの3Dソフトが標準またはアドオンで対応しています。glTFはKhronos Groupが策定した規格で、3Dシーンとモデルを効率よく転送・読み込みするためのロイヤリティフリーな仕様と説明されており、2022年にはISO/IEC 12113:2022として国際規格になっています(出典: Khronos Group「glTF Overview」、2026年7月時点)。
- ライトと背景を決める(目安:15分)— ここが画面収録との最大の差です。影の落ち方、背景色、逆光の有無を自分で決められます。
- 回転のアニメーションを設定する(目安:10分)— モデルを固定してカメラを一周させるか、モデル自体をY軸で360度回転させます。フレーム数で1周を割り切れるようにしておくと、ループの継ぎ目が目立ちません。
- レンダリングして書き出す(目安:数分〜数時間)— 解像度とフレーム数、レンダリング方式によって所要時間が大きく変わります。
- 必要なら動画編集ソフトで尺と形式を整える(目安:10分)
注意点:レンダリング時間は設定次第で大きく膨らみます。初回は低い解像度と短いフレーム数で試写して、明るさと構図を確定させてから本番のレンダリングに進むのが結果的に早道です。
方法3: 動画の書き出し機能があるサービスを使う
3Dモデルを扱うサービスの中には、回転動画の書き出しをボタン1つで用意しているものがあります。設定の自由度は下がりますが、毎回同じ品質で出せるのが利点です。
Figmeeでは、生成した3Dモデルの表示画面に「360°動画を作る」という導線があり、モデルが回転する動画をその場で書き出せます。仕様は次のとおりです。
- 長さは6秒で、その間に2周します(1周あたり3秒)。
- 形式はMP4(H.264)を優先し、対応していないブラウザではWebMにフォールバックします。
- 右下にロゴの透かしが入ります。
- 変換はブラウザ内で完結し、書き出したファイルはそのまま保存または共有できます。
ブラウザ側で動画を生成する仕組みには、Web標準の録画APIであるMediaRecorderが使われています。MediaRecorderはMediaStream Recording APIの一部で、メディアストリームを記録する機能を提供します(出典: MDN Web Docs「MediaRecorder」、2026年7月時点)。このAPIに対応していない古いブラウザでは書き出しができないため、うまくいかないときは別のブラウザで試すのが早い解決策になります。
投稿前に確認したい形式のこと
書き出した動画がそのまま投稿できるとは限りません。プラットフォームごとに受け付ける条件が決まっているため、投稿先のヘルプを一度確認しておくと差し戻しを避けられます。たとえばYouTubeショートは、最大1080pの解像度でアップロードでき、長さは最長3分までとされています(出典: YouTubeヘルプ「YouTube ショートを作成する」、2026年7月時点)。
確認したいのは主に次の4点です。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| ファイル形式 | MP4で書き出せているか。WebMのままだと受け付けられない場合がある |
| 縦横比 | 正方形(1:1)か縦(9:16)か横(16:9)か。投稿面によって切り取られ方が変わる |
| 長さ | 短尺の投稿面には上限がある。回転動画は6〜12秒あれば十分成立する |
| 音声 | 無音のまま投稿できるか。無音動画を許容しない編集アプリもある |
3Dの回転動画は、被写体が中央にあり四方に余白ができる性質上、正方形との相性が良い見せ方です。縦型の投稿面に載せるときは、上下の余白に作品名や一言を置くと間延びしません。
きれいに見せる5つのコツ
- 背景は無地に寄せる(目安:2分)— 背景に情報が多いと、輪郭が背景に溶けて立体感が落ちます。作品の色と補色に近い無地が扱いやすいです。
- 1周を3〜4秒にする(目安:設定のみ)— 速すぎると形が読み取れず、遅すぎると最後まで見てもらえません。
- 最初の1秒で全体像を見せる(目安:構図調整で5分)— 冒頭からアップで始めると、何の作品か伝わる前に離脱されがちです。まず全体、次に寄り、という順番が無難です。
- 周回数を整数にする(目安:設定のみ)— 1.5周のように半端な位置で終わると、ループ再生の継ぎ目が飛んで見えます。
- 書き出したら最後まで自分で再生する(目安:1分)— 背面の破綻、透かしの位置、通知の写り込みは、再生してはじめて気づきます。
回す前にモデル側で整えておきたい3つのこと
同じ手順で撮っても、モデルの状態によって仕上がりの安定感は変わります。撮影の設定をいじる前に、次の3点を確認しておくと手戻りが減ります。
1. 回転の中心がずれていないか。モデルの原点(回転軸)が体の中心から外れていると、回したときに被写体が画面内で大きく振れてしまいます。ビューアの自動回転で軸ブレが目立つ場合は、3Dソフトで原点を中央に移してから書き出し直すと落ち着きます。
2. 底面が処理されているか。1枚の画像から生成した3Dモデルは、接地面の情報が元画像に写っていないことが多く、底が平らに切り落とされたり、逆に不自然に膨らんだりします。真横に近い角度で回すと底面はほとんど映りませんが、少し見下ろす角度にすると映り込みます。カメラの高さは、底面の処理を確認してから決めてください。
3. テクスチャが荒れていないか。回転すると、正面では見えなかった側面や背面のテクスチャが順番に画面へ出てきます。継ぎ目の色ズレや、模様の引き伸ばしが起きていないかを一周させて確認します。テクスチャの仕組みはテクスチャとは?3Dモデルの色と質感が決まる仕組みで解説しています。
この3点は、動画の設定では直せない部分です。逆に言えば、ここさえ整っていれば、あとは背景と回転速度を決めるだけで見られる動画になります。
動画にする前にモデル側を直したくなったら
回してみると、静止画では気づかなかった箇所 — 背面のテクスチャの乱れ、細いパーツの欠け — が見つかることがあります。その場合は動画の設定をいじるより、3Dモデル自体を手直しするほうが早く解決します。GLBは多くの3Dソフトで読み込めるので、AIで作った3Dモデルを編集する方法総覧を参考に、修正してから書き出し直してください。
よくある質問
Q. スマホだけでターンテーブル動画は作れますか。 A. 作れます。スマホのブラウザで3Dモデルを開き、画面収録機能で撮る方法がいちばん手軽です。書き出し機能があるサービスなら、収録の操作すら不要でその場でファイルが手に入ります。ただし端末が発熱するとフレーム落ちが起きやすいので、長時間の連続撮影は避けてください。
Q. 書き出した動画がSNSにアップロードできません。 A. まずファイル形式を確認してください。ブラウザで書き出した動画がWebM形式だと、受け付けないサービスがあります。MP4に変換するか、MP4で書き出せる環境(別のブラウザや3Dソフト)で作り直すのが確実です。長さと解像度が投稿先の上限を超えていないかも合わせて確認してください。
Q. 何秒くらいの動画がちょうどいいですか。 A. 目的によりますが、回転を見せるだけなら6〜12秒あれば足ります。1周3〜4秒として2〜3周分です。それ以上長くすると同じ絵の繰り返しになるため、尺を伸ばしたい場合は寄りのカットや制作過程を足すほうが最後まで見てもらいやすくなります。
Q. 透かしやロゴは消せますか。 A. サービスの書き出し機能を使う場合、透かしの有無はそのサービスの仕様で決まります。透かしなしで出したい場合は、3Dモデルのデータをダウンロードして自分の3Dソフトでレンダリングする方法に切り替えてください。GLBを書き出せるサービスであれば、この道は常に残されています。
まとめ
3Dモデルの動画は、モデルを一定速度で回すターンテーブル動画にするのが基本形です。手軽さを取るならビューアの画面収録、品質を取るなら3Dソフトでのレンダリング、毎回同じ形で出したいなら書き出し機能つきのサービス、と目的で選び分けてください。仕上げでは、背景を無地に寄せる、1周を3〜4秒にする、周回数を整数にする、という3点を押さえるだけで見え方が安定します。投稿前に一度最後まで再生して、背面と写り込みを確認することも忘れずに。



