依頼して描いてもらったイラストを3Dにするときは、描いた絵師に「3Dにしてよいか」を先に聞くのが確実です。代金を払って納品されても、イラストの著作権は原則として描いた人に残り、依頼者が使える範囲は、依頼したサービスの規約と依頼のときの取り決めで決まるためです。たとえばSkebの利用規約は、依頼者に許す使い方を「個人観賞」や「SNS上のプロフィール画像」などに限っていて、3D化についての直接の定めはありません。
この記事では、Skeb・ココナラ・SKIMAの規約の条文で依頼者が使える範囲を確かめ、自分だけで楽しむ3D化と公開・グッズ化の違い、絵師への頼み方の文例、Figmeeにアップロードしてよい画像の条件を順に整理します。二次創作(版権キャラ)の3D化は二次創作・ファンアートの3Dモデル化と著作権、立体グッズを売る話は創作キャラのフィギュアは売っていい?で扱っています。
この記事は日本の著作権法と各サービスの規約に基づく一般的な情報の整理で、法的助言ではありません。個別の作品について「問題ない」と判断するものでもありません。規約は改定されることがあるため、依頼したときの規約と今の規約の両方を、各サービスの公式ページで確かめてください。
※現在のFigmeeが提供しているのは、描いたイラストから作るフィギュア風画像、3Dモデルデータ(GLB / 3MF)、3Dモデルの回転動画です。実物の3Dプリント注文は準備中(Coming Soon)です。実在の人物・動物・物・風景を撮った写真や、写真のように見える画像は3Dにできません。
依頼して描いてもらった絵の著作権は誰のもの?
原則として、描いた絵師のものです。著作権は作品を創作した人に発生し、代金を払って画像を受け取っただけでは依頼者に移りません。依頼者がその絵をどこまで使えるかは、依頼したサービスの規約と、出品ページの条件・依頼文・やり取りといった取り決めで決まります。
ここで分けて考えたいのが、「キャラクターを考えた人」と「イラストを描いた人」です。名前・性格・見た目の指定まで自分で考えた「うちの子」でも、絵師が描いたそのイラストには、その絵師の著作権があります。3D化は、そのイラストを元に立体の形を作る使い方なので、イラストの権利を持つ絵師の考えが関わります。設定の扱いまで含めた細かな線引きは、この記事では判断しません。
もう1つ知っておきたいのが、著作権とは別に、描いた本人に残る「著作者人格権」です。著作権法第20条第1項は「著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする」と定めています(条文はe-Gov法令検索の著作権法、2026年11月7日に確認)。著作権を譲り受けた場合でもこの権利は描いた本人に残るため、絵を立体に作り替える3D化では、絵師の意向を確かめておくと安心です。
Skebで依頼した絵は3Dにしていい?
Skebの規約では、依頼者が使えるのは「個人観賞」「SNS上のプロフィール画像」などの範囲に限られ、3D化についての直接の定めはありません。3Dを公開する、SNSに載せる、グッズにするといった使い方は、規約上、絵師(クリエイター)の許可が要る使い方に当たると読めます。自分だけで見る3D化が「個人観賞」に入るかは規約から読み取れないため、頼む前に聞くのが確実です。
Skebの利用規約(2023年12月1日改定のPDF)で、依頼者(クライアント)に関わる条文は次のとおりです。
- 第5条2項(5):作品が納品された後も、「作品の著作権…はクライアントに譲渡されず、クリエイターに帰属する」と定めています。クライアントが使えるのは、「個人観賞に用いること、…SNS上のプロフィール画像として使用すること…に限り、その利用を許諾する」とされた範囲と、規約とポリシーに定める範囲です。
- 第7条1項:「作品の著作権その他一切の権利は、規約とポリシーで別途定める場合を除き、クリエイターに帰属します。」
- 第8条(10):禁止行為として「作品を、クリエイターの許可なく個人の私的利用を超えて使用する行為」を挙げています。
出典:Skeb利用規約(2023年12月1日改定・PDF)(2026年11月7日に確認)。Skebはクライアント向けのクライアントガイドラインも公開しているので、依頼する前にあわせて読んでおきましょう。
同じ規約の第8条(21)は、クリエイター側の禁止行為として「運営会社所定のジャンルにおいて、イラストや漫画以外の3Dモデル、スクリーンショットまたは生成AIが一部もしくは全部を生成したデータを納品する行為」を挙げています。Skebは、所定のジャンルでは描かれたイラストや漫画が納品されることを前提にした場です。依頼した絵をAIのサービスで3Dにしたいときは、AIを使うことを伏せずに伝えてから聞くのが、絵師への礼儀でもあります。
ココナラ・SKIMAで依頼した絵は?
ココナラは、出品者が説明や取引の中で明示した条件が優先され、明示が無ければ規約は「自ら使用するためにのみ」改変を含めて使えると定めています。SKIMAは、キャラクターデザインなどを著作権ごと買う「opt販売」なら著作権が購入者に移りますが、著作者人格権は描いた本人に残ります。オーダーメイド(依頼して描いてもらう取引)の権利は、規約に定めが見当たらず、出品ページの条件と取り決めで決まります。
ココナラ
ココナラの利用規約第14条3項は、出品者がサービスの説明や提供の過程で明示的に指定した場合を除き、利用会員は「自ら使用するためにのみ、出品者著作物等を利用(複製、複写、改変、第三者への再許諾…を含みます)できる」と定めています。第19条2項にも、出品者が利用会員に、自らの使用のために自由に利用できる権利を許諾する旨が書かれています。
ただし、規約の「出品者著作物等」の定義(第2条1項12号)は「出品者が当社ウェブサイトにおいて公開した写真、画像、動画、音声、楽曲、エッセイ、記事等の著作物」などで、依頼で納品されたイラストがこれに当たるかは、条文の文言だけでは読み取りにくいところがあります。実際の使える範囲は、出品ページに書かれた条件(商用利用・二次利用・著作権の譲渡の扱いなど)と、取引の中で出品者が示した条件で確かめてください。公開やグッズ化が「自ら使用する」範囲に入るかも、出品者の条件次第です。
出典:ココナラ利用規約(2025年12月19日改定・2026年11月7日に確認)
SKIMA
SKIMAの利用規約(国内版)は、第2条(12)で「opt販売」を「イラストの著作権ごと売買を行うもの」とし、「著作権に関しましては購入者に譲渡されますが、著作者人格権は製作者が持ちます」と定めています。第4条11項は、著作者人格権によって「作者の意に反した作品の改変等をすることはできません」とし、著作者人格権を行使しない合意がある場合を例外にしています。opt販売で買ったキャラクターデザインでも、3D化が作者の意に反する改変に当たらないかは作者の考え次第なので、聞いておくと安心です。
オーダーメイドで描いてもらった絵の権利や、依頼者が使える範囲を定めた条文は、2026年11月7日時点の規約には見当たりませんでした。出品ページに書かれた利用範囲と、取引の中での取り決めで確かめます。
出典:SKIMA利用規約(2026年11月7日に確認)
3つのサービスと個人間の依頼の比較
| 依頼した場所 | 著作権 | 依頼者が使える範囲 | 3D化について |
|---|---|---|---|
| Skeb | クリエイターに帰属(第5条2項(5)・第7条1項) | 個人観賞・SNS上のプロフィール画像など | 直接の定めなし。私的利用を超える使い方は許可が必要(第8条(10)) |
| ココナラ | 原則として出品者(譲渡は出品ページの条件・取り決め次第) | 出品者の明示が無ければ「自ら使用するためにのみ」改変を含めて利用(第14条3項) | 直接の定めなし。出品者の条件を確認 |
| SKIMA(opt販売) | 購入者に譲渡(第2条(12)) | 著作権者として使える。ただし作者の意に反する改変はできない(第4条11項) | 作者に確認 |
| SKIMA(オーダーメイド) | 規約に定めが見当たらない | 出品ページの条件 | 出品者に確認 |
| SNSのDMなど個人間の依頼 | 原則として絵師 | やり取りの内容と、絵師が公開している利用規約 | 絵師に確認 |
自分だけで楽しむ3D化と、公開・グッズ化はどう違う?
使い方が「自分だけで見る」から「公開する」「配る・売る」へ進むほど、絵師の許可が必要になる度合いが上がります。日本の著作権法には、私的使用のための複製と、その範囲での翻案を認める規定があります。ただし、外部のサービスに画像を送って3Dにする使い方がこれに当てはまるかはこの記事では判断しません。依頼したサービスの規約は依頼者が同意した約束でもあるため、法律の扱いとは別に守る必要があります。
著作権法第30条第1項は、著作物を「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる」と定め、第47条の6第1項第1号は、この場合に「翻訳、編曲、変形又は翻案」による利用もできるとしています(e-Gov法令検索の著作権法、2026年11月7日に確認)。条文が「その使用する者が複製する」ことを条件にしている点など、当てはまるかどうかは個別の事情で変わります。
使い方ごとに確かめることは、次のとおりです。
| やりたいこと | 確かめること |
|---|---|
| 自分の端末で3Dを回して見るだけ | 規約で許された範囲か(Skebなら個人観賞)。迷ったら絵師にひとこと聞く |
| Figmeeで作品を公開し、共有リンクを友人に送る | 公開すると共有リンクのページに元のイラストも表示される。絵師の許可 |
| SNSに3Dモデルの回転動画を載せる | 絵師の許可、絵師の名前の書き方、AIで作ったことの書き方 |
| 3MFを自分の3Dプリンターで出力する | 立体物にしてよいかを絵師に確認 |
| グッズにして配る・売る | 著作権の譲渡か、立体化・商用利用を含む許諾 |
見落としやすいのが、Figmeeで作品を公開すると、3Dモデルといっしょにアップロードした元のイラストも表示されることです。公開すると作品は「みんなのギャラリー」に並び、共有リンクのページには作品のタイトル、3Dモデル、元のイラスト、作成日が出ます。公開をやめても、SNSに表示されたリンクのプレビューや、ほかの人が保存した画像は残ることがあります。依頼した絵の3Dを公開するのは、依頼した絵そのものを公開することでもあると考えてください。
グッズにして売る場合の契約の考え方(著作権の譲渡と利用許諾の違い)は、創作キャラのフィギュアは売っていい?で整理しています。
絵師にはどう頼む?
依頼する前なら依頼文に、納品された後なら改めてメッセージで、「何をしたいか」「AIのサービスを使うこと」「公開するかどうか」の3つを具体的に書いて聞きます。AIを使うことを伏せて許可をもらうと、後で分かったときに関係がこじれる原因になります。断られたら、その絵での3D化はやめるのが前提です。
相談の文面に入れたい項目は次の6つです。
- 何をするか:3Dモデルを作る、回転動画を作る、3MFで出力する、など
- 使うサービス:AIでイラストから3Dモデルを作るサービスであること(サービス名も)
- 公開の範囲:自分だけで見る/共有リンクで友人にだけ見せる/SNSやギャラリーで公開する
- 名前の扱い:公開する場合に、絵師の名前をどう書くか
- 画像の扱い:アップロードした画像がどう使われるか(サービスの説明を添える)
- 断ってもよいこと:断りやすい書き方にしておく
依頼する前(依頼文に書き足す)の文例
完成したイラストを、自分用に3Dモデルにして楽しみたいと考えています。AIでイラストから3Dモデルを作るサービス(Figmee)を使う予定です。3Dモデルは公開せず、自分だけで見ます。この使い方が難しい場合は、ご遠慮なくお知らせください。
納品された後に聞く文例
先日はイラストをありがとうございました。追加でご相談させてください。いただいたイラストを、AIでイラストから3Dモデルを作るサービス(Figmee)に読み込み、自分用の3Dモデルを作ってもよいでしょうか。サービスの説明では、アップロードした画像はAIの学習には使われず、自分で公開しない限り第三者には公開されないとされています。公開したくなった場合は、改めてご相談します。お断りいただいても大丈夫です。
連絡の方法は、依頼したサービスの決まりと、絵師が案内している窓口に従ってください。公開まで頼みたいときは、どこに載せるか(自分のSNS、Figmeeのギャラリーなど)と、絵師の名前とAIで作ったことをどう書くかまで書いておくと、返事をもらいやすくなります。
許可をもらってから3Dにするまでの手順は?
依頼したときの条件を読み返し、許可の返事を残してから、イラストをアップロードして3D画像→3Dモデルの順に作ります。絵師への相談から3Dモデルができるまで、返事を待つ時間を除けば1時間ほどが目安です。
- 依頼したときの条件を読み返す(10分):規約、出品ページ、依頼文、やり取りを見直し、使える範囲を確かめます
- 3Dで何をするかを1行で決める(5分):「自分だけで回して見る」「回転動画をSNSに載せる」など
- 絵師に相談のメッセージを送る(15分):上の文例をもとに、自分の使い方に合わせて書きます
- 許可の返事を保存する(5分):どの使い方を許可してもらったかが後から分かるように残します
- イラストをアップロードして3D画像を作る(数分):PNG・JPEG・WebP(1枚20MBまで)。品質を「標準」「Pro」「Max」から選ぶと、フィギュア風画像ができます
- 3Dモデルを作って回して見る(数分):ブラウザ上で360°回して、横や後ろの形を確かめます
- 公開するなら、許可の範囲を確かめてからスイッチをオンにする(5分):作品の画面の「作品をシェア」の横のスイッチで公開します。元のイラストも表示されることを忘れずに
料金は、フィギュア風画像の生成が品質に応じて1〜3トークン、3Dモデルの生成が5トークンです。3Dモデルはアカウントにつき初回1体が無料で、登録特典で無料トークンが5つ付与されます(登録から3か月有効・同じメールアドレスでの初回登録時のみ)。追加のトークンは550円で5つ購入できます。生成に失敗したときは、使ったトークンが自動で戻ります。
イラストから3Dモデルを作る流れ全体は、イラストを3D化する方法【2026年版】で詳しく解説しています。
Figmeeに入れていい画像の条件は?
Figmeeにアップロードできるのは、自分で描いた絵か、権利を持つ人から使う許可を得ている画像です。依頼して描いてもらったイラストなら、絵師の許可があることが条件になります。他の人が描いたイラストを許可なく使うと、著作権の侵害になるおそれがあります。
Figmeeのヘルプと利用規約で決まっていることは次のとおりです。
- アップロードした画像は3D画像・3Dモデルを作るためだけに使われ、AIの学習には使われません
- 自分で作品を公開した場合を除き、第三者に公開されることはありません
- 生成された画像の著作権は、適用される法律に従います
- 実在の人物・動物・物・風景を撮った写真や、写真のように見える画像は使えません(写真と判定されると、使ったトークンは自動で戻ります)
Figmeeが向いている人と、向いていない人は次のとおりです。
- 向いている人:絵師の許可をもらって、依頼した「うちの子」を360°回して見たい人。絵師と相談しながら、3Dをどこまで見せるかを決めたい人
- 向いていない人:絵師に聞かずに試したい人(許可の無い他人の絵はアップロードできません)。動かせる3Dが欲しい人(保存できるのはGLBと3MFで、リギングやVRMには対応していません)。実物が欲しい人(実物の3Dプリント注文は準備中〈Coming Soon〉です)
詳しい条件は、Figmeeのヘルプの「アップロードできる画像と権利について」にまとめています。著作権全体の見取り図は3Dモデルの著作権入門で整理しています。
よくある質問
Q. 自分だけで見るなら、絵師に聞かなくてもいいですか? A. 一概には言えません。Skebの規約が依頼者に許しているのは「個人観賞」などの範囲で、3D化がそこに入るかは規約から読み取れません。ほかのサービスでも、出品者の条件で改変が制限されていることがあります。外部のサービスに画像をアップロードする使い方でもあるため、ひとこと聞いておくのが確実です。
Q. 許可をもらえなかったら、どうすればいいですか? A. その絵での3D化はやめます。自分で描いたラフ(紙に描いた絵を撮影した画像でもかまいません)で3Dを試すか、次に依頼するときに「3Dにしたい」という用途を依頼文に書いておく方法があります。
Q. できた3Dモデルの権利は誰のものですか? A. Figmeeのヘルプでは、生成された画像の著作権は適用される法律に従うとしています。元のイラストの権利は絵師に残るため、3Dモデルや回転動画を公開・配布するときも、元の絵について許可された範囲の中で使ってください。
まとめ
依頼して描いてもらったイラストの著作権は、原則として描いた絵師にあります。Skebは依頼者の使い方を「個人観賞」「SNS上のプロフィール画像」などに限り、ココナラは出品者の条件が優先され、SKIMAのopt販売でも著作者人格権は作者に残ります。どのサービスでも、3D化について直接の定めはありません。
だからこそ、3Dにしたいときは「何をしたいか」「AIのサービスを使うこと」「公開するかどうか」を書いて、絵師に先に聞くのがいちばん確実です。許可の返事を残し、公開するときは元のイラストも表示されることを確かめてから進めてください。




