俯瞰(ふかん)はキャラクターを上から見下ろす角度、あおりは下から見上げる角度で、どちらになるかはアイレベル(見る人の目、またはカメラの高さ)がキャラクターより上にあるか下にあるかで決まります。描き方の基本は、先にアイレベルを決め、カメラに近い部分を大きく、遠い部分を小さく描き、顔の十字線を角度に合わせて上下させることです。俯瞰では頭頂部と肩が大きく足もとが小さく、あおりではあごの下と足が大きく頭頂部が小さく見えます。
この記事では、アイレベルの考え方、俯瞰とあおりで顔と体の見え方がどう変わるか、頭身が低いキャラクターの扱い、角度を決めてから描く手順を整理します。角度に迷ったときに、自分のキャラクターの3Dモデルを見下ろす・見上げる角度に回して確かめる方法にも触れます。
※現在のFigmeeが提供しているのは、描いたイラストから作るフィギュア風画像、3Dモデルデータ(GLB / 3MF)、3Dモデルの回転動画です。実物の3Dプリント注文は準備中(Coming Soon)です。写真や写真のように見える画像は3Dにできません。
俯瞰とあおりで何が変わる?(アイレベルの考え方)
俯瞰とあおりの違いは、アイレベルがキャラクターのどの高さにあるかです。CLIP STUDIO PAINTの開発元セルシスの公式アカウントによる解説では、アイレベルは場面を見ている人の目の高さ、またはカメラの高さを表し、アイレベルより上にある物は見上げる構図に、下にある物は見下ろす構図になるとしています。
つまり、アイレベルをキャラクターの頭より上に置けば全身を見下ろす俯瞰に、足もとより下に置けば全身を見上げるあおりになります。胸のあたりに置けば、上半身はわずかに見上げ、下半身はわずかに見下ろす、正面に近い絵になります。
縦の線の傾き方も変わります。同じ解説によると、見上げる構図では高さ方向の消失点(縦の線が集まる点)が描く物の上に、見下ろす構図では下に来ます。イラスト・マンガ描き方ナビのパースの講座は、こうした「高さの歪み」を描くための図法を三点透視図法と呼び、あおりや俯瞰で使うものとして説明しています。
| アイレベルの位置 | 構図 | 高さ方向の消失点 | 体の縦の線 |
|---|---|---|---|
| キャラクターの頭より上 | 俯瞰(全身を見下ろす) | キャラクターの下 | 足もとに向かってすぼまる |
| キャラクターの胸から腰のあたり | 正面に近い | 目立たない | ほぼ垂直のまま |
| キャラクターの足もとより下 | あおり(全身を見上げる) | キャラクターの上 | 頭に向かってすぼまる |
同じ講座は、消失点どうしを近づけすぎると不自然な図になりやすいとも注意しています。迫力を出そうとして角度を強くしすぎたときは、消失点を少し離すと落ち着きます。
俯瞰ではどこが大きく・小さく見える?
俯瞰では、カメラに近い頭頂部・肩・前髪の上側が大きく広く見え、遠い足もとは小さくなり、体は下に向かってすぼまります。顔は、十字線を正面のときより少し低く置き、目・鼻・口を顔の下寄りに描きます。
MediBang Paintの俯瞰の顔の解説は、キャラクターより少し高い位置から見るだけでも俯瞰の角度に含まれるとしたうえで、次の点を挙げています。
- 十字線:顔の大きさを示す「+」を、ふだんより少し低く置く
- 頭頂部と髪:高く見下ろすほど頭のてっぺんが広く見えるので、つむじの位置を意識して髪の流れを描く
- 目:少し上から見るだけで、目そのものよりまぶたとまつ毛が見えやすくなる
- 鼻:下向きの三角形を意識して描く
- 首:円柱として考え、側面の曲線に沿わせる
- 耳:下に向かって幅が細くなり、上の面が多く見える
体は、肩から足もとに向かって小さくなります。頭と肩が大きく前に出るぶん、強い俯瞰では胸から下が肩の陰に入りやすくなるので、足先がどこまで見えるかを当たりの段階で決めておきます。
あおりでは顔と体をどう描く?
あおりでは、カメラに近いあごの下と足が大きく、遠い頭頂部は小さく見え、体は頭に向かってすぼまります。顔は、目のラインを中心より上に、上向きの弧で描き、あごの下の面と鼻の穴を描き足します。
MediBangのあおりの顔の解説は、次の点を挙げています。
- 目:目の高さは、顔の中心の横線より上に来る。顔は球なので、目もゆるやかなカーブに沿わせる
- 顔の上下:見上げるほど、あごの下の面が広くなり、あごより上は上下に詰まって見える
- 鼻:三角錐として考えると、見上げるほど底の面(鼻の穴の側)がよく見える
- 耳:顔が正面に近いあおりでは耳が下がって見え、見上げるほど縦に短くなる
イラスト・マンガ描き方ナビの角度のついた顔の解説も、頭は球なので目は湾曲させて貼り付けるように描くこと、角度によってはあごの裏が見え、そこを描かないと不自然になることを挙げています。
全身で見ると、脚は長く、頭は小さく見えます。
俯瞰とあおりの見え方を並べると、次のとおりです。
| 角度 | 大きく・広く見える部位 | 小さく・狭く、隠れやすい部位 | 描くときの注意点 |
|---|---|---|---|
| 俯瞰(見下ろし) | 頭頂部とつむじのまわり、肩、耳の上の面 | あごの下、首の前側、足もと | 顔の十字線を低めに。目はまぶたとまつ毛を中心に描く |
| あおり(見上げ) | あごの下の面、鼻の穴の側、足 | 頭頂部、おでこ | 目のラインを中心より上に、上向きの弧で。あごの裏を描き足す |
頭身が低いキャラの俯瞰・あおりはどう扱う?
2〜3頭身のように頭の大きいキャラクターは、頭が体の大部分を占めるため、強い俯瞰では体が頭の陰に隠れやすく、強いあおりではあごの下の面が画面の大きな部分を占めやすくなります。角度は浅めから試し、頭を球、胴を小さな箱として当たりを取ると、形が崩れにくくなります。
頭身が低いキャラクターで気をつけたいのは次の3点です。
- 顔のパーツが大きい:目が大きく描かれているぶん、十字線を上下させたときの目の位置の変化が目立ちます。目のラインの弧を、頭の球に沿わせて描きます。
- 前髪と髪飾りの重なりが角度で大きく変わる:俯瞰では前髪の上の面と髪飾りが顔の上に大きくかぶさり、あおりでは前髪の裏側が見えるようになります。
- 手足が短い:あおりで足を大きくしすぎると、頭身が変わって見えます。足先と頭の大きさの差を、箱の当たりで先に決めておきます。
一般的なデッサン人形やポーズの素材は、頭の大きいキャラクターと頭身が違う場合があり、見下ろしたときの頭と体の重なり方をそのまま参考にしにくいことがあります。自分のキャラクターの頭身のまま確かめたいときは、次の節の方法が使えます。
自分のキャラを見下ろす・見上げる角度で確かめるには?
Figmeeのビューアは左右に360°回せるだけでなく、真上に近い見下ろしから真下に近い見上げまで上下にも回せるので、正面の絵1枚から作った自分のキャラクターの3Dモデルで、俯瞰とあおりの見え方を確かめられます。作る手順と、描くための資料としての使い方はデッサン人形の代わりに自分のキャラの3Dを使う方法にまとめています。ビューアは遠近のあるカメラで映していて、拡大はカメラを近づける仕組みなので、寄るほど手前が大きく写ってパースが強くなり、離れるほど弱くなります。頭頂部やあごの下のように絵に描いていない面は、AIが推定した形として扱ってください。
角度を決めてから描く手順は?
角度に迷う絵は、アイレベル → 箱の当たり → 部位 → 仕上げの順に描くと、途中で角度がぶれません。1体のラフで、合わせて50分〜1時間ほどが目安です。
- アイレベルを決める(目安:5分):キャラクターのどの高さにアイレベルを置くかを決め、画面に横線を1本引きます。俯瞰なら頭より上、あおりなら足もとより下です。続けて、高さ方向の消失点を、俯瞰ならキャラクターの下、あおりなら上に置きます。
- 箱で当たりを取る(目安:10〜15分):頭・胸・腰を箱に置き換え、縦の線を高さ方向の消失点に向けてすぼめます。イラスト・マンガ描き方ナビのパースの講座は、箱を描く練習が人物のパースの当たりにもなるとしています。
- 部位を置く(目安:15〜20分):顔の十字線を、俯瞰なら低めに、あおりなら目のラインが中心より上に来るように置き、目を頭の球に貼るように弧に沿わせます。目を先に描き、鼻はあとから足すと、角度のついた顔でも置きやすくなります。
- 見えない部分も描いてから仕上げる(目安:20〜30分):隠れる側の目や体の線も一度うすく描いてバランスを確かめ、あおりならあごの裏、俯瞰なら頭頂部とつむじを描き足してから、線を整えます。
よくある質問
俯瞰やあおりで描いた絵を、3D化の入力に使えますか?
3D化の入力には、正面に近い角度の絵が向いています。あおりのように強い角度のついた絵は、パーツどうしの位置関係を読み取りにくく、形の推定で不利になります。入力の絵の整え方はAI 3D生成のコツにまとめています。正面寄りの絵から3Dを作り、俯瞰とあおりはビューアで角度を変えて確かめる使い方がおすすめです。
どのくらいの角度から「俯瞰」「あおり」と呼びますか?
はっきりした境目はありません。MediBangの解説は、キャラクターより少し高い位置から見るだけでも俯瞰の角度に含まれるとしています。わずかな角度でも、顔の十字線や目のラインを動かさずに正面のまま描くと不自然に見えるので、角度が小さいときも十字線から合わせます。
見下ろす・見上げる角度を何度も試すと、そのたびにトークンがかかりますか?
かかりません。トークンを使うのはフィギュア風画像の生成(品質に応じて1〜3トークン)と3Dモデルの生成のときだけで、できた3Dモデルを上下左右に回したり、寄ったり離れたりするのは何度でも無料です。3Dモデルはアカウントにつき初回1体が無料で、別のポーズの絵からもう1体作るときは5トークンかかります(追加のトークンは550円で5つ)。登録特典の無料トークン5つ(登録から3か月有効・同じメールアドレスでの初回登録時のみ)で、最初の1体まで試せます。正面の絵から3Dモデルを作るまでの流れはイラストを3D化する方法で説明しています。
まとめ
俯瞰とあおりは、アイレベルをキャラクターのどこに置くかで決まります。先にアイレベルと高さ方向の消失点を決め、近い部分を大きく、遠い部分を小さく描き、顔の十字線と目のラインを角度に合わせて上下させると、角度のついた絵でも形が崩れにくくなります。真横の顔の比率は横顔の描き方、後ろから見た姿はキャラクターの後ろ姿の描き方で扱っています。
参考にした資料
- CLIP STUDIO TIPS「透視図法とパース定規の基本 -パース定規基本編1-」(ClipStudioOfficial・セルシス公式):アイレベルの意味、見上げ・見下ろしと高さ方向の消失点
- イラスト・マンガ描き方ナビ「【パース入門講座】遠近感のある絵が描きたい!【透視図法】」(CLIP STUDIO・運営: セルシス):アオリ・フカンの意味、三点透視図法、消失点の注意、箱で当たりを取る練習
- イラスト・マンガ描き方ナビ「アオリや俯瞰(フカン)も簡単に!角度のついた顔を描きやすくする4つのコツ」(CLIP STUDIO・提供: いちあっぷ):目を球に貼るように描く、目から描く、見えない部分、あごの裏
- MediBang Paint「How to draw various face directions [Aori]」(英語):あおりの顔の目・あご・鼻・耳
- MediBang Paint「How to draw faces from different perspectives [overhead perspective]」(英語):俯瞰の顔の十字線・頭頂部・目・鼻・首・耳




