キャラクターの後ろ姿は、正面の絵で決まっていることを、背中側では何になるかに置き換えて描くと迷いません。髪の分け目はつむじの位置と後頭部の髪の流れに、肩幅は首から肩への傾きと肩甲骨の間隔に、服の前の合わせやえりは背中の中心線とえりの後ろに置き換わります。描く順番は、アタリ、頭、肩と背中、服、髪の5段階です。
正面しか描いていない自分のキャラなら、正面の絵1枚から3Dモデルを作り、回して後ろ側のアタリを付けてから描く方法もあります。ただし、3Dの背中側は絵に描かれていない部分をAIが補った形なので、正解ではなく確かめるための資料として使います。
※現在のFigmeeが提供しているのは、描いたイラストから作るフィギュア風画像、3Dモデルデータ(GLB / 3MF)、3Dモデルの回転動画です。実物の3Dプリント注文は準備中(Coming Soon)です。写真や写真のように見える画像は3Dにできません。
後ろ姿を描くとき、最初に決めるのは何?
最初に決めるのは、正面の何が、後ろから見ると何になるかの対応です。後ろ姿は顔も服の前も見えない絵なので、そのキャラらしさを後頭部の髪・首と肩・背中の服で伝えることになります。線を引く前に、この対応を書き出しておくと手が止まりません。
| 正面で決まっていること | 後ろ姿で決めること | 描くときのポイント |
|---|---|---|
| 前髪の分け目と流れ | つむじの位置と、後頭部の髪の流れ | 分け目と矛盾しない位置につむじを置き、そこから流れを下ろす |
| 頭の大きさ・あごの位置 | 後頭部のふくらみと首の付け根 | 横から見ると後頭部は首より後ろへ張り出しているので、頭を小さく描きすぎない |
| 肩幅・首の太さ | 首から肩への傾き、肩甲骨の位置と間隔 | 首と肩は、なだらかな斜面でつながる |
| 服の前の合わせ・ボタン・えり | 背中の中心線、えりの後ろ、裾やベルトの後ろ | 前の飾りは後ろからは見えない。えりは後ろへ回り込む |
| 片側だけの飾り(髪飾り・肩当てなど) | 後ろから見た左右の位置 | 後ろから見ると左右が入れ替わる |
正面・側面・背面をそろえて描く三面図の考え方は、キャラクターの三面図の描き方で詳しく説明しています。この記事は、後ろ姿1枚を描くことに絞って書きます。
後ろ姿を描く順番は?
アタリ、頭、肩と背中、服、髪の順に描きます。髪は服や肩の上にかぶさるので最後にし、その前に、髪で隠れる体の形を決めておきます。各段階の目安は5〜15分です。
Step 1:アタリを取る(目安5〜10分)
正面の絵と同じ頭身で、頭の丸・首・胴・腰の位置を描き、背中の真ん中に縦の中心線を1本引きます。パースをつけずに描いた正面の立ち姿があるなら、左右反転して下描きにすると、輪郭の幅がそろいます。
Step 2:頭と後頭部を描く(目安5分)
頭の丸に、後頭部のふくらみと首の付け根を描き足します。髪を描く前に頭の形を決めておくと、髪の量で頭が大きく見えすぎたり、平たく見えたりするのを防げます。
Step 3:肩と背中を描く(目安10〜15分)
首の付け根から肩へなだらかな斜面を引き、肩甲骨の位置に印を付けます。背中の中心線は、背骨に沿ってゆるやかな曲線にします。
Step 4:服の後ろを描く(目安10〜15分)
えりの後ろ、背中の中心線にある縫い目やファスナー、裾やベルトの後ろを描きます。後ろで結ぶリボンなど、正面の絵からは分からない部分は、ここで決めて設定に書き足します。
Step 5:髪を描く(目安10〜15分)
つむじの位置を決め、そこから後頭部の丸みに沿って流れを下ろし、毛束に分けます。長い髪は、肩や背中に沿って落ちる形にします。
後頭部と髪はどう描く?
後頭部の髪は、つむじから外へ広がる流れを先に決めてから毛束を描きます。つむじは頭の毛が渦を巻いている部分で、主に頭頂部にあり、右巻きと左巻きがあります(Wikipedia「旋毛」)。前髪の分け目と矛盾しない位置に置き、そこから後頭部の丸みに沿って下ろします。
CLIP STUDIO PAINT公式の講座サイト「Art Rocket」の髪の描き方の解説も、髪は頭の決まった点から伸びるので、分け目のような基準の点や線に先に印を付けること、毛束は頭の表面の曲線に沿って回り込ませることを勧めています。後頭部には髪が何層にも重なり、首のまわりで落ちる、とも書かれています(Art Rocket「How to Draw Hair: 3 Tips for Beginners」(英語))。
描くときに気をつけたいのは、次の3点です。
- 頭の丸を先に描く:髪のボリュームは、頭の丸の外側に足します。頭の丸を描かずに髪の輪郭だけを描くと、後頭部が平たく見えがちです。
- 結んだ髪は結び目の高さを正面とそろえる:ポニーテールやお団子は、正面の絵で見えている結び目の高さに合わせます。後ろからは結び目そのものと、そこへ集まる髪の流れが見えます。
- 長い髪は肩で分かれる:背中に下ろした髪は、肩の上で前と後ろに分かれたり、背中の丸みに沿って落ちたりします。重力で下へ落ちる向きを意識します。
首から肩・背中のラインはどう決める?
首の付け根から肩へは、なだらかな斜面でつなぎます。この斜面をつくっているのは僧帽筋で、背中のいちばん表面にある台形の筋肉です。後頭部の出っ張りから背骨に沿って胸の背骨の下のほうまで広がり、鎖骨の外側・肩の先・肩甲骨の肩甲棘(けんこうきょく)につながっています(Wikipedia「僧帽筋」)。後ろ姿で首が細く長く見えるときは、多くの場合この斜面が描けていません。
背中の左右には、三角形の肩甲骨があります。Art Rocketの人体の解説は、肩甲骨は腕を動かす骨で、背中の形はこの骨の動きに合わせて変わること、背骨はまっすぐではなく曲線であることを挙げています(Art Rocket「Learn Anatomy to Improve Drawing the Human Body」(英語))。
- 立ち姿:肩甲骨のふくらみは、服の上からなら軽い影やしわで示すくらいで足ります。
- 腕を上げる・前に出すポーズ:肩甲骨が動くので、背中の形と服のしわの向きも変わります。
- デフォルメの強いキャラ:筋肉は描き込まず、首から肩への傾きと背中の幅だけで見せると、絵柄と合います。
服の後ろ側はどこを描けば伝わる?
服の後ろは、えりの後ろ、背中の中心線、裾やベルトの後ろの3か所を決めると伝わります。前の飾りやボタンは後ろからは見えないので無理に描かず、えりの回り込みと布の流れで「正面と同じ服」に見せます。
- えりの後ろ:シャツのえりは首の後ろへ回り込み、セーラーカラーのように背中側に大きく垂れるえりもあります。えりの形は、正面よりも後ろ姿で服の種類を伝えます。
- 背中の中心線:服によっては、背中の真ん中に縫い目やファスナーがあります。無い服でも中心線を薄く引いておくと、左右の幅をそろえやすくなります。
- 裾・ベルト・リボン:後ろで結ぶリボンやエプロンの結び目、上着の後ろの切れ込みなど、後ろにしか無い要素は正面の絵からは分かりません。描くときに決め、設定のメモに書き足しておくと、次に描くときに迷いません。
- フードやマント:背中を大きく覆う服は、頭や肩の形に沿って布が落ちる向きを先に決めます。
正面しか描いていないキャラの後ろ姿を確かめるには?
正面の絵1枚から3Dモデルを作り、ブラウザで回して後ろ側のアタリを付ける方法があります。Figmeeなら絵1枚から3Dモデルを作れ(アカウントにつき初回1体無料、2体目から5トークン)、真後ろだけでなく斜め後ろや見下ろす角度でも止めて、後ろ髪の量や肩の出方を見られます。作り方と角度の探し方の手順はデッサン人形の代わりに自分のキャラの3Dを使う方法にまとめています。ただし背中側は絵に描かれていないのでAIが補った形で、設定どおりとは限りません。どのように補われるかは1枚の絵を3D化すると背面はどうなる?で説明しています。
作品の画面の「三面図を保存(4方向)」を押すと、3Dモデルを正面・右側面・背面・左側面から撮った白背景のPNGを1枚、トークンを使わずに保存できます。遠近の歪みが無い撮り方なので、真後ろから見た後ろ髪の長さと、横から見た後ろ髪の厚みを1枚で見比べられます。背中側はそのまま写さず、自分の設定と違う所を見つけて、描くときに決め直す点を洗い出す材料にします。
後ろ姿がうまくいかないときの直し方は?
崩れ方から原因を探すと、直す場所が分かります。よくある崩れと直し方は次のとおりです。
| よくある崩れ | 起きやすい原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 頭が小さく、平たく見える | 後頭部のふくらみを描いていない | 頭の丸を描き直し、髪の厚みを外側に足す |
| 首が細く長く見える | 首から肩への斜面が無い | 首の付け根から肩へ、なだらかな線でつなぐ |
| 背中が板のように見える | 肩甲骨と背骨の曲線が無い | 肩甲骨の位置に軽い影を入れ、中心線をゆるやかな曲線にする |
| 正面と同じキャラに見えない | 髪型や服の後ろが、正面の絵と合っていない | 最初の表で、分け目・えり・飾りの位置を照らし合わせる |
| 飾りの左右が逆になっている | 正面の絵を反転せずに写した | 後ろからは左右が入れ替わる。片側の飾りを確かめ直す |
| 後ろ髪の量が描くたびに違う | 後ろ髪の量を決めていない | 一度決めた量を設定のメモに残す。3Dで見た量を目安にしてもよい |
よくある質問
正面の絵を左右反転すれば、後ろ姿になりますか?
輪郭のアタリにはなります。パースをつけずに描いた立ち姿なら、正面の輪郭を反転すると後ろ姿の輪郭とほぼ重なるためです。ただし、髪の流れ、えりの後ろ、片側だけの飾りの位置は反転では決まらないので、描き直しが必要です。
3Dで見た後ろ姿を、そのまま絵にしてもいいですか?
形のアタリを取る資料にとどめるのがおすすめです。3Dの背中側は、正面の絵にない部分をAIが補った形なので、自分の設定と違うことがあります。また、絵の後ろ姿では、髪の量や肩の傾きを立体の形より誇張したほうが伝わる場合があります。後ろ姿は、資料を見ながら自分の手で描きます。
自分のキャラの後ろ姿を3Dで確かめるのに、いくらかかりますか?
初めて登録したアカウントなら、1人のキャラの後ろ姿を確かめるところまでは支払いなしで進められます。登録特典の無料トークン5つ(登録から3か月有効)でフィギュア風画像(1〜3トークン)を作り、アカウントにつき初回1体無料の3Dモデルにすれば足りるからです。別のキャラや別のポーズでも確かめるなら2体目から5トークン(5つで550円)かかります。細かい条件はデッサン人形の代わりに自分のキャラの3Dを使う方法のよくある質問にまとめています。
まとめ
キャラクターの後ろ姿は、正面の絵で決まっている前髪の分け目・肩幅・服の合わせを、つむじ・首から肩への斜面と肩甲骨・背中の中心線とえりの後ろに置き換えて描きます。順番は、アタリ、頭、肩と背中、服、髪。髪を最後にすることで、髪の下にある体の形がぶれません。
正面しか描いていないキャラは、3Dモデルを回して後ろ側のアタリを付けてから描くこともできます。3Dの背中側はAIの推測なので、設定と違うところは設定を優先し、自分の手で後ろ姿を決めてください。絵から3Dを作る流れ全体は、イラストを3D化する方法の完全ガイドにまとめています。
参考にした資料
- Wikipedia「旋毛」:つむじの定義と位置
- Wikipedia「僧帽筋」:僧帽筋の位置・形・つながる骨
- Art Rocket「How to Draw Hair: 3 Tips for Beginners」(CLIP STUDIO PAINT公式の講座サイト・英語):髪の基準点、頭の曲線に沿った毛束、後頭部の髪の重なり
- Art Rocket「Learn Anatomy to Improve Drawing the Human Body」(CLIP STUDIO PAINT公式の講座サイト・英語):肩甲骨の形と動き、背骨の曲線




