キャラクターの三面図とは、1人のキャラクターを正面・側面(真横)・背面の3方向から、同じ大きさ・同じポーズで描き並べた設定画です。描き方の基本は2つで、先に正面を描き、目・あご・肩・腰・ひざなどの高さに横のガイド線を引いて、側面と背面をその線に合わせることと、遠近(パース)をつけずに描くことです。
この記事では、三面図が使われる場面、描く前に決めておくこと、描く順番、よくあるずれの直し方を順に整理します。後半では、描いた三面図をAIでキャラクターの3Dモデルにするときの使い方と、三面図の側面・背面の生かし方を紹介します。
※現在のFigmeeが提供しているのは、描いたイラストから作るフィギュア風画像、3Dモデルデータ(GLB / 3MF)、3Dモデルの回転動画です。実物の3Dプリント注文は準備中(Coming Soon)です。
三面図とは? 製図の三面図との違いと、使われる場面
「三面図」はもともと製図の言葉で、辞書では「製図で、正面、平面、側面の三つの外観を示した図面」と説明されています(コトバンク「三面図」・精選版 日本国語大辞典)。ここでいう「平面」は、真上から見た図のことです。
キャラクターの三面図では、真上から見た図の代わりに**背面(後ろ姿)**を描くのが一般的です。CLIP STUDIOの「Metasequoia 使い方講座」でも、3Dでキャラクターを作るための下絵について、キャラクターの場合は上からの図面は不要と案内しています。英語圏ではこの図を「ターンアラウンド(turnaround)」と呼び、キャラクターの設定画全般を「モデルシート(model sheet)」と呼びます。CLIP STUDIO PAINT公式の講座サイト「Art Rocket」に掲載された、イラストレーターのJulio Robledo氏の解説では、正面・背面・横・斜め(3/4)の4方向を最低限の構成としています。
三面図が使われるのは、主に次の場面です。
- ほかの人にキャラクターの形を伝える:アニメやゲームの制作、3Dモデルの外注などで、描き手やモデラーに寸法と形を正確に伝える設計図になります。
- 3Dモデリングの下絵にする:Blenderの公式マニュアルは、3D空間に置いた画像を、設計図やキャラクターシートを下絵にしたモデリングに使えると説明しています。
- 自分のキャラの設定を固める:何枚も描き続けるときに、髪型や服の細部が絵ごとにぶれるのを防げます。
向きごとに、その図で決まることを整理すると次のとおりです。
| 図 | その図で決まること |
|---|---|
| 正面 | 顔と体の幅、左右の配置、服の前側のデザイン |
| 側面(真横) | 体の厚み、横顔の鼻やあごの形、前髪・後ろ髪の奥行き |
| 背面 | 後頭部の髪型、背中側の服や小物のデザイン |
| 斜め(3/4・任意) | 立体としての見え方、正面と側面のつながり |
3Dモデルの制作を外注するときに三面図を描き起こすべきかどうかは、イラストの3D化をコミッションで依頼する方法で整理しています。この記事では、三面図そのものの描き方に絞って説明します。
描く前に決める3つのこと(頭身・基準線・ポーズ)
1. 頭身:体の比率を頭の数で決める
身長が頭の高さ何個分かで体の比率を表すのが「頭身」です。Art Rocketの解説では、人物でよく使われる8と4分の3頭身の比率を土台にし、頭を大きく、胴を短くしてほぼ7頭身のキャラクターに調整したうえで、胸・へそ・股・ひざ・足首が頭の単位のどこに来るかを決めています。
自分のキャラでも、頭の高さを1単位として、胸・腰・ひざ・足首がどの単位に来るかを先にメモしておくと、3つの図で身長や脚の長さがずれにくくなります。
2. 基準線:横のガイド線を引く高さを決める
正面・側面・背面を同じ高さにそろえるため、キャンバスの端から端まで横線を引いてから描きます。Art Rocketの解説では、目の中心・あご・眉・肩など主要なパーツの高さに線を引き、すべての図でパーツを線に合わせています。CLIP STUDIOの講座でも、正面の顔から頭の大きさ・目の高さ・口の位置に水平のガイドを作り、そのガイドに合わせて横顔を描く手順です。
全身の三面図なら、たとえば次の高さに線を引いておくと、あとで確かめやすくなります。
- 頭のてっぺん・眉・目・あご
- 肩・胸・腰(へそ)・股
- ひざ・足首・足の裏
あわせて、正面と背面には縦の中心線を1本引いておきます。
3. ポーズと見え方:同じポーズで、パースをつけない
三面図は、同じキャラクターをぐるりと回して見た図です。3つの図は同じポーズ・同じ大きさで描き、まっすぐ立った姿勢を基本にします。Art Rocketの解説でも、キャラクターらしい動きのあるポーズは、三面図とは別の「ポーズシート」にまとめています。
もう1つ大事なのが、遠近(パース)をつけないことです。CLIP STUDIOの講座では、できるだけパースのついていない「平行投影図法」の絵、なるべく遠くから望遠で撮影したような奥行き感のない絵が三面図に向いているとしています。パースのついた絵を下絵に3Dモデルを作ると、形そのものにパースがついたモデルになり、最終的に二重にパースがかかって不自然になるためです。パースの影響は、主に目の大きさや間隔、口の位置、耳の大きさに出るとされています。
三面図の描き方(5ステップ)
ここからは、描く順番に沿って進めます。紙でもデジタルでも同じ考え方で描けます。
Step 1:正面を描く
横長のキャンバスを用意し、正面・側面・背面(斜めも描くなら4つ)を横に並べる場所を取ります。最初に描くのは正面です。
正面は縦の中心線を基準にします。左右対称の部分は、片側だけ描いて左右反転するか、CLIP STUDIO PAINTの対称定規のように左右対称に線が引ける機能を使うと、左右がそろいます。髪型のように左右対称でないパーツは、顔や体とは別のレイヤーに分けて描くと、反転したときに崩れません。
Step 2:正面から横のガイド線を引く
正面の図から、決めておいた高さ(頭のてっぺん・目・あご・肩・腰・ひざ・足の裏など)に横線を引き、キャンバスの端まで伸ばします。このあとの図は、すべてこの線に合わせて描きます。
Step 3:側面(真横)を描く
ガイド線に合わせて、真横から見た形を描きます。正面の図には奥行きの情報が無いため、体の厚みは側面で決めます。胸・お腹・お尻の前後の出っ張りや、髪の奥行きをここで決めてください。
CLIP STUDIOの講座では、横顔のポイントとして鼻筋と目の深さを挙げています。前髪のボリュームは3Dで作る途中で意外と迷うため、横顔に少し描き込んでおくよう勧めています。
Step 4:背面を描く
背面は、正面の図を手がかりに描きます。パースをつけずに描いた場合、背面の輪郭は正面の輪郭を左右反転した形になるので、正面の図を反転して下描きにすると輪郭がそろいます。そのうえで、後頭部の髪の流れや、背中側の服のデザインを描き込みます。
注意したいのは、背面では左右が入れ替わることです。正面の図で向かって左に見える髪飾りは、背面の図では向かって右に見えます。
Step 5:必要に応じて斜め(3/4)と、色・メモを足す
立体の印象まで伝えたいときは、正面と側面のあいだに斜め(3/4)の図を描き、ほかの図と合うように整えます。色も決めておくなら、キャラクターに使う色をまとめた色の指定を添えます。絵だけでは伝わりにくい素材や、どの図にも見えない部分(靴の裏など)は、短いメモで補います。
よくあるずれと直し方
描き終えたら、ガイド線を頼りに3つの図を見比べます。起きやすいずれと直し方をまとめました。
| よくあるずれ | 起きやすい原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 図ごとに目・あご・肩の高さが違う | ガイド線を引かずに描いた、途中で線から外れた | 正面から横線を引き直し、側面と背面のパーツを線に合わせる |
| 図ごとに身長や脚の長さが違う | 図ごとに描き始めの大きさが違う | 頭のてっぺんと足の裏の線を共通にし、頭身のメモと照らし合わせる |
| 側面の体が薄すぎる、または厚すぎる | 正面の幅に引っ張られて描いた | 胸・お腹・お尻・髪の前後の出っ張りを、側面で決め直す |
| 背面で髪飾りなどの位置が左右逆 | 正面の図を反転せずに写した | 正面の図を左右反転して下描きにする。正面で向かって左の飾りは、背面では向かって右に来る |
| 目の大きさや間隔、耳の大きさが図ごとに合わない | 近くから見たようなパースがついている | 遠くから望遠で見たような、奥行き感のない描き方に直す |
| 前髪や後ろ髪の量が図ごとに違う | 側面で髪の奥行きを決めていない | 横顔に前髪の厚みを描き込み、背面は正面の髪の輪郭から起こす |
描いた三面図をAIで3Dにするときの使い方
Figmeeは正面の1枚から3Dモデルを作る
Figmeeで3Dにする元の画像は、1回の生成につき1枚です。正面・側面・背面を別々の画像としてまとめて読み込ませる機能はありません。三面図を使うときは、シートから正面の図だけを1枚の画像として切り出してアップロードします。見えない側面や背面は、その1枚をもとにAIが推測して作ります。
シートをそのまま使わないのは、1枚に同じキャラクターが何体も並んだ絵になるためです。1枚に複数のキャラクターが描かれた絵は、AIがどれを主役にするか読み取りにくくなる場合があります。
手順は次のとおりです。専用ソフトのインストールは不要で、ブラウザだけで進められます。
- 正面の図を切り出す:全身が入るように切り出し、ほかの図・ガイド線・メモ書きは入れず、背景は白か単色にします。紙に描いた三面図なら、スマートフォンで撮影した画像やスキャンした画像でも使えます。形式はPNG・JPEG・WebPで、1枚20MBまでです。
- アップロードして品質を選び、生成する:「標準」「Pro」「Max」から品質を選んで「3D画像を生成」を押すと、フィギュア風画像ができます。所要時間は通常2〜3分ほどです。
- 3Dモデルを生成する:画像に納得できたら「3Dモデルを生成」を押します。
- 三面図と見比べる:できた3Dモデルをブラウザ上で360°回し、三面図の側面・背面と見比べます。
切り出した正面の図をさらに整えるコツは、AI 3D生成のコツ(入力画像の作り方7選)で詳しく解説しています。
三面図の側面・背面は「答え合わせ」と「直すときの資料」になる
Figmeeに渡すのは正面の1枚ですが、描いた側面と背面の図は、仕上がりを確かめる答え合わせに使えます。360°回しながら、次の点を見比べてください。
- 側面:体の厚み、前髪・後ろ髪の奥行き
- 背面:後頭部の髪型、背中側の服や小物のデザイン、左右の飾りの位置
- 全体:頭身や手足の長さのバランス
違いがあったときの直し方は、違いの種類で分かれます。
- 色や模様が違う:月額サブスクの特典「3Dモデル塗り絵」で、背面の図を見ながら3Dモデルに直接色を塗れます。作品の画面の「塗り絵をする」から始め、塗った結果は別のバージョンとして保存されるので、元の3Dモデルは残ります。
- 形が違う:Figmeeの中では3Dモデルの形を変えられないため、GLBをBlenderなどの3Dソフトに読み込んで直します。Blenderでは画像を3D空間に置いて下絵にできるので、三面図を置いて見比べながら形を整えられます。読み込みの手順はFigmeeのGLBをBlenderで作り込む手順にまとめています。
正面の1枚から作る以上、背面は推測になります。AIが推測で補う部分と苦手な形については、イラストが3D化できないと言われる理由で整理しています。
三面図をまとめて入力したいなら、複数の角度に対応したツールもある
三面図の側面・背面もそのまま入力に使いたい場合は、複数の角度の画像から3Dモデルを作るツールがあります。
- Meshy:Webアプリの公式ドキュメントで「Multi-view Images to 3D」を案内し、組み合わせの例として正面・側面・背面・斜め(3/4)を挙げています。1枚の画像には背面の情報が無いため、背面が欠けたり違ったりするときは、背面の角度を含む複数の画像を使うよう書かれています。
- Tripo:開発者向けAPIの公式ドキュメントで、正面・左・背面・右の画像から3Dモデルを作る方式を案内しています。正面は省略できず、2枚以上の画像を使う決まりです。
Meshyの公式ドキュメントは、どの画像も同じ対象で、光の条件が近いものをそろえるよう求めています。図どうしの大きさや高さがそろった三面図ほど、こうしたツールの入力にも向いていると考えられます。機能や料金は変わるため、使う前に各ツールの公式情報を確かめてください。ツールごとの違いは画像から3Dモデルを作るAIツール比較でも比べています。
| 比べる点 | Figmee | 複数の角度に対応したツール |
|---|---|---|
| 入力する画像 | 正面の1枚 | 複数の角度の画像(枚数や角度はツールの仕様による) |
| 側面・背面の作られ方 | 正面の1枚からAIが推測する | 入力した各角度の画像も使って作る |
| 三面図の役割 | 仕上がりの答え合わせと、直すときの資料 | 入力そのもの(図どうしの大きさ・向きをそろえる必要がある) |
| 向いている場面 | 正面の1枚で、まず立体になった姿を見たい | 背面のデザインまで入力で指定したい |
料金と、向いている人・向いていない人
料金は、登録特典で無料トークンが5つ付与され(登録から3か月有効・同じメールアドレスでの初回登録時のみ)、フィギュア風画像の生成は品質に応じて1〜3トークン、3Dモデルの生成は5トークンです。3Dモデルはアカウントにつき初回1体が無料です。追加のトークンは550円で5つ購入できます。3Dモデル塗り絵は、月額990円の任意のサブスク(毎月8トークン付与)の特典です。
三面図の正面の1枚で、まず自分のキャラが立体になった姿を見たい人や、回して側面・背面のバランスを確かめたい人に向いています。できた3Dモデルは「360°動画を作る」から回転動画にできるので、三面図と並べて見せることもできます。一方で、Figmeeの3Dモデルは形と色のデータで、骨組みを入れて動かすリギングやVRMには対応していません。ゲームやアニメで動かす3Dキャラクターを作りたい場合は、三面図をもとに3Dソフトでモデリングする工程が別に必要です。
よくある質問
三面図に斜め(3/4)の図は必要ですか?
用途によります。3Dモデリングの下絵として使うなら、正面と側面が基本で、背中にデザインがあるキャラクターなら背面も描きます。ほかの人に立体の印象まで伝える設定資料なら、斜めの図があると伝わりやすくなります。Art Rocketの解説では、正面・背面・横・斜めの4方向を最低限の構成としています。
三面図がないと、キャラクターを3Dにできませんか?
Figmeeなら、正面から描いた1枚のイラストから3Dモデルを作れます。見えない側面や背面はAIが推測で補うため、意図と違う形になる場合があります。背面のデザインにこだわりがあるなら、三面図を描いておくと、仕上がりの確認や修正の資料になります。三面図なしで3Dにする流れは自作キャラクターを3D化する方法にまとめています。
三面図のシートをそのままアップロードしてもいいですか?
正面の図だけを切り出してアップロードするのがおすすめです。シートのままだと、1枚に同じキャラクターが何体も並んだ絵になり、AIがどれを主役にするか読み取りにくくなる場合があります。ガイド線やメモ書きも、切り出すときに外してください。
版権キャラクターの三面図を描いて3Dにしてもいいですか?
Figmeeにアップロードできるのは、自分で描いた絵や、権利を持つ人から使う許可を得ている画像です。他の人の著作権などを侵害する画像はアップロードできません。安心して使えるのは、自分が権利を持つオリジナルキャラクターです。
描いた三面図のキャラクターを、実物で作れますか?
Figmeeでの実物の3Dプリント注文は準備中(Coming Soon)で、いまは注文できません。保存した3MFデータは、自分の3Dプリンターや3MFを受け付けている出力サービスで使えますが、そのまま印刷できるか、色や細かい形がどこまで再現されるかは、プリンターやソフトによって異なります。
まとめ
キャラクターの三面図は、頭身を決めてから正面を描き、横のガイド線を引いて、側面で厚みを、背面で後ろ姿を決める順に描くと、3つの図がそろいます。パースをつけないこと、背面では左右が入れ替わることに気をつければ、よくあるずれの多くは防げます。
描いた三面図をAIで3Dにするなら、Figmeeでは正面の図を1枚切り出して使い、側面と背面の図は、仕上がりの答え合わせと、塗り絵やBlenderで直すときの資料にします。三面図をまとめて入力したい場合は、複数の角度に対応したツールも選べます。
参考にした資料
- コトバンク「三面図」(精選版 日本国語大辞典):製図の三面図の定義
- CLIP STUDIO「[4] ガイド絵を用意する」(Metasequoia 使い方講座・提供: セルシス):キャラクターに上からの図が要らないこと、平行投影で描く理由、水平のガイドに合わせて横顔を描く手順、左右対称の描き方、横顔のポイント
- Art Rocket「Model Sheets for Character Designers」(CLIP STUDIO PAINT公式の講座サイト・英語):ターンアラウンドの構成、ガイド線、頭身による比率、背面の起こし方、ポーズシート
- Blender 5.2 LTS Manual「Empties」(英語):画像を下絵として3D空間に置く機能
- Meshy Docs「Image to 3D」(英語):複数の角度の画像からの3D生成
- Tripo OpenAPI docs「Multiview to model」(英語):正面・左・背面・右の画像からの3D生成




