3Dファイル形式は、「何を運べるか(形だけか・色や質感まで・動きまで)」と「どこで使うか(Web表示・3Dプリント・ゲーム/映像制作)」の2軸で選ぶと迷わず決められます。OBJ・FBX・STL・glTF/GLB・3MFといった代表的な形式は、それぞれ得意な運び方と用途が違うだけで、絶対的な優劣があるわけではありません。この記事では、主要な6つの形式(OBJ・FBX・STL・glTF・GLB・3MF)の違いを、比較表と用途別の選び方、変換のしかたまでまとめて整理します。
※現在のFigmeeは、アップロードした絵やイラストから、フィギュア風画像と3Dモデルデータ(GLB / 3MF)を生成・ダウンロードできるサービスです。実物の3Dプリント品の販売は準備中(Coming Soon)です。
3Dファイル形式の違いは「運べる情報」で決まる
3Dモデルは、大きく3種類の情報でできています。ひとつめは形(メッシュ)、ふたつめは色・質感(テクスチャ/マテリアル)、みっつめは**動き(アニメーション)**です。3Dファイル形式ごとの一番の違いは、この3つのうち「どこまでを1ファイルに詰め込めるか」にあります。
「形だけ」で十分な形式もあれば、「色・質感・動き」まで丸ごと運べる形式もあり、さらに複数ファイルに分けて保存するか1ファイルにまとめるかも分かれます。だから形式選びは、運びたい情報と、渡す相手(使う場所)を一致させる作業だと考えると分かりやすくなります。
主要な6つの3Dファイル形式
OBJ(.obj)— 3Dソフト間の受け渡しの定番
OBJはWavefront Technologiesが自社の3D CGソフト向けに作った、歴史の古い形式です。中心となるのは形(メッシュ)の情報で、色や質感は別の材質ファイル(.mtl)で補います。アニメーションは持てませんが、非常に多くのソフトが読み書きできる互換性の高さから、いまも「形を受け渡す定番」として使われています。
STL(.stl)— 3Dプリントの共通語
STLは光造形(ステレオリソグラフィ)のために生まれた形式で、モデルの表面を三角形の集まりとして「形だけ」で表します。色・質感・動きは持たず単色です。仕組みがシンプルなぶん扱いやすく、3Dプリントの入稿形式として長く標準的に使われてきました。
FBX(.fbx)— ゲーム・映像制作で普及
FBXはAutodeskが扱う形式で、形に加えて色・質感、そしてアニメーションやボーン(動きの骨組み)まで持てます。キャラクターを動かす情報を丸ごと運べるため、ゲームエンジンや映像制作の現場で広く使われています。
glTF・GLB(.gltf / .glb)— Web時代の共通フォーマット
glTFは、3Dシーンやモデルを効率よくやり取りするためにKhronos Group(クロノス・グループ)という業界団体が策定した、無償(ロイヤリティフリー)のオープン標準です(出典: Khronos glTF 公式、2026年7月時点)。形・色・質感(PBR)・アニメーションを効率よく運べ、現行のglTF 2.0は国際規格ISO/IEC 12113:2022としても採択されています。glTF(.gltf)は中身が複数ファイルに分かれる形、GLB(.glb)はそれを1ファイルにまとめたバイナリ版で、受け渡しやWeb表示に向きます。詳しくはGLBファイルとはで解説しています。
3MF(.3mf)— 色まで運べる新しい3Dプリント形式
3MFは、3Dプリント(アディティブ・マニュファクチャリング)のために3MF Consortiumが策定したオープン標準です(出典: 3MF Consortium 公式、2026年7月時点)。STLが持てなかった色・マテリアル・印刷設定まで1ファイルに含められるのが特徴で、フルカラーの3Dプリントに向きます。STLとの違いは3MFファイルとはで詳しく比較しています。
主要形式の比較表
代表的な5系統の形式を、持てる情報と用途で並べます。
| 形式 | 色・テクスチャ | アニメーション | 主な用途 | よく使うソフト・場面 |
|---|---|---|---|---|
| OBJ | 別ファイルで持てる | 持てない | 3Dソフト間の受け渡し | Blender・各種3D CGソフト |
| STL | 持てない(形のみ) | 持てない | 3Dプリント(単色) | スライサー・3Dプリント入稿 |
| FBX | 持てる | 持てる | ゲーム・映像制作 | ゲームエンジン・3D CGソフト |
| glTF / GLB | 持てる(PBR対応) | 持てる | Web表示・共有・受け渡し | ブラウザビューア・Blender |
| 3MF | 持てる(フルカラー) | 想定しない | フルカラー3Dプリント | スライサー・3Dプリント入稿 |
ざっくり言えば、glTF/GLBは「見せる・渡す」ための形式、STLと3MFは**「立体として出力する」ための形式**、FBXは**「動かす」ための形式**という住み分けです。
用途別の選び方
まずは大きな原則を押さえましょう。
- 人に渡す・Webで見せる → glTF/GLB。 1ファイルで色・質感まで運べ、ブラウザでそのまま表示しやすいためです。
- 3Dプリントしたい → STL か 3MF。 単色でよければ定番のSTL、色も残したいなら色・設定まで運べる3MFを選びます。
- ゲーム・映像制作 → FBX。 アニメーションやボーンまで運べ、制作現場のツールと相性がよいためです。
- 形だけを3Dソフト間で渡す → OBJ。 互換性が高く、シンプルな受け渡しに向きます。
迷ったときは、次の順番で決めると絞り込めます。
- 動き(アニメーション)が必要か?(約10秒)— 必要なら FBX か glTF/GLB。
- 立体として出力(3Dプリント)したいか?(約10秒)— したいなら STL か 3MF。色を残すなら 3MF。
- Webやアプリで見せる・人に送るだけか?(約10秒)— それなら glTF/GLB。
- 渡す相手のソフトが決まっているか?(約30秒)— 決まっているなら、その相手が確実に読める形式に合わせます。
形式の変換方法
形式は用途に合わせて変換できます。基本は、無料の3DソフトBlenderに**インポート(読み込み)→エクスポート(書き出し)**する流れです。たとえばGLBをファイル → インポート → glTF 2.0で読み込み、ファイル → エクスポートからSTLで書き出せば、Web用のGLBを3Dプリント用のSTLに変換できます。
ここで正直にお伝えしたい注意点があります。STLへ変換すると色の情報は失われます(STLは形だけの形式のため)。同じくアニメーションを持たない形式へ変換すれば動きも落ち、一度削った情報は元に戻せません。色を残して3Dプリントしたいなら、STLではなく色を運べる3MFなどを選びましょう。AIなどで作った3Dモデルを書き出して仕上げる流れは、AIで作った3Dモデルを編集する方法でまとめています。
よくある質問
結局どの形式が一番良いですか?
用途によります。どんな場面でも最良という万能の形式はありません。Web表示・受け渡しならglTF/GLB、3DプリントならSTLか3MF、ゲームや映像で動かすならFBX、というように「使う場所」で選ぶのが正解です。
変換すると品質は落ちますか?
形そのものは基本的に保たれますが、変換先の形式が持てない情報は削られます。たとえばSTLへ変換すると色が消え、アニメーションを持たない形式へ変換すれば動きが消えます。逆に、対応している情報どうし(glTF ⇄ GLBなど)であれば内容を保ったまま変換できます。
OBJとFBXはどう使い分けますか?
形だけを単純に受け渡すならOBJ、アニメーションやボーンなど動きの情報まで運びたいならFBXが向きます。互換性重視で軽くやり取りするならOBJ、制作データを丸ごと渡すならFBX、と覚えておくと迷いません。
Figmeeで作った3Dモデルはどの形式で使えますか?
Figmeeで生成した3DモデルはGLBと3MFの形式でダウンロードでき、書き出す前にブラウザ上で360°回転させて確認できます。GLBはWeb表示や受け渡し、3MFはフルカラー3Dプリント向けです。なお実物の3Dプリント販売は準備中(Coming Soon)のため、実物化したい場合は書き出したデータを外部の3Dプリントサービスへ持ち込む流れになります。
まとめ
3Dファイル形式の違いは、「運べる情報(形だけ/色・質感まで/動きまで)」と「使う場所」で説明できます。Web表示・受け渡しはglTF/GLB、3DプリントはSTL(単色)か3MF(フルカラー)、ゲーム・映像はFBX、形だけの受け渡しはOBJ——この対応を覚えておけば、たいていの場面で迷いません。変換は無料のBlenderで完結しますが、色や動きは「持てない形式へ変換すると失われる」点だけ意識しておきましょう。




