ソフビは、原型 → 型 → 複製(成形)→ 塗装の4工程で作ります。原型で形を決め、その形を写し取った型を作り、型に材料を入れて同じ形を必要な数だけ成形し、最後に色を塗って仕上げる、という流れです。
このうちデジタルで置き換えやすいのは一番手前の「原型」の検討部分で、型・成形・塗装は実物を扱う工程です。この記事では4工程それぞれの中身と、個人でできる範囲と工場に任せる範囲の分かれ目を順に整理します。
※現在のFigmeeは、アップロードした絵やイラストからフィギュア風画像と3Dモデルデータ(GLB / 3MF)を生成・ダウンロードできるサービスです。実物の3Dプリント品の販売は準備中(Coming Soon)で、型取りや複製(成形)はFigmeeの提供範囲外です。
ソフビとは
ソフビは「ソフトビニール」の略で、やわらかいビニール素材を金型の中で成形して作る、中が空洞になった人形や玩具のことです。量産の現場では、原型からワックス転換を経て金型を作り、金型に材料を流し込んで加熱・冷却し、脱型したものにバリカット・塗装・組立を施して製品にします(出典: 中空工房「ソフビ製造工程」、2026年7月時点)。丸みのある形を得意とし、硬質でエッジの立った形は苦手とされる素材です。
全体の流れ
4工程の中身と、主に誰が担うかを1つの表にまとめます。
| 工程 | 何をするか | 主な担い手 | デジタルで代替 |
|---|---|---|---|
| 1. 原型を作る | 製品の元になる形を造形する | 個人・原型師 | 形の検討・造形はできる |
| 2. 型を取る | 原型の形を写し取った型を作る | 工場(金型)/個人(シリコン型) | できない |
| 3. 複製する(成形) | 型に材料を入れて同じ形を作る | 工場が一般的 | できない |
| 4. 塗装と仕上げ | バリを取り、色を塗り、組み立てる | 工場・個人 | 配色の検討はできる |
工程が後ろに進むほど、やり直しに必要な費用と時間が大きくなります。とくに金型を作ってから形を変えるのは難しいため、原型の段階でどれだけ迷いを減らせるかが全体の効率を左右します。
1. 原型を作る
原型は、製品の形そのものを決める工程です。作り方は大きく3つあり、向き不向きがはっきり分かれます。
| 作り方 | 向いている人・場面 | 向いていない点 |
|---|---|---|
| 粘土で造形する | 手で形を探りながら作りたい人 | 左右対称や同じ形の作り直しに手間がかかる |
| デジタル造形(造形ソフト) | 修正・左右対称・サイズ変更を繰り返したい人 | ソフトの操作を覚える時間が要る |
| AIで試作する | 造形に入る前に立体の当たりを取りたい人 | そのままでは原型にならない(後述) |
粘土で造形する。 芯材に粘土を盛って形を出す、昔ながらの方法です。手の感覚で形を探れる一方、乾燥と盛り足しを繰り返すため時間がかかります。粘土造形の具体的な手順はオリジナルフィギュアの作り方で、自作・外注・AIの3ルートと一緒に比較しています。
デジタル造形。 造形ソフトの中で形を作り、3Dプリンタで出力して原型にする方法です。修正や左右対称の作業が得意で、同じデータから何度でも出力し直せます。
AIで試作する。 イラストやラフから3Dモデルを生成し、本番の造形に入る前にプロポーションを確かめる使い方です。Figmeeでは、イラストからフィギュア風画像と3Dモデルを生成し、ブラウザ上で360°回して形を確認したうえで、GLB / 3MF形式で書き出して造形ソフトへ持ち込めます。ただし、生成されるのは「形の案」であって、そのまま型に回せる原型ではありません。型から抜ける形(アンダーカットの処理)や肉厚の設計は、この後に人の手で詰める必要があります。AI試作の手順とソフビ特有の制約はソフビ原型をAIで試作する方法で詳しく整理しています。
Figmeeの役割はこのデジタル試作までで、実物の3Dプリントや複製は提供していません。実物3Dプリントの注文機能は準備中(Coming Soon)です。
2. 型を取る
型は、原型の形を写し取って同じ形を繰り返し作るための道具です。ソフビを量産する場合は、原型をワックスに置き換えてから金属の型(金型)を作ります(出典: 中空工房「ソフビ製造工程」、2026年7月時点)。
これとよく比べられるのが、ガレージキットで使われるシリコン型です。シリコン型は原型を埋めてシリコンを流し、固まってから割って原型を取り出して作る型で、そこに樹脂(レジン)を流して複製します。材料が手に入るため個人でも作れますが、使うたびに劣化するため寿命があります。
| 型の種類 | 主な用途 | 作る人 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 金型 | ソフビの量産 | 工場 | 初期費用が大きいが、同じ形を多く作れる |
| シリコン型 | レジンキャストでの少量複製 | 個人・複製業者 | 個人でも作れるが、使うたびに劣化する |
個人と工場の分かれ目はここにあります。ソフビとして成形したいなら金型が必要で、金型づくりは工場に任せる工程です。一方、素材をレジンに変えてよいなら、シリコン型で個人が少量を複製する道もあります。シリコン型とレジンによる複製の工程と費用はガレージキットの複製費用と相場で出典つきで整理しています。
3. 複製する(成形)
ソフビの成形は、金型に材料を流し込み、加熱して型の内側に材料を定着させ、余分な材料を戻してから焼き・冷却・脱型するという流れで行われます。加熱には190℃前後のオイルバスが使われると説明されています(出典: 中空工房「ソフビ製造工程」、2026年7月時点)。
こうした設備が要るため、ソフビの成形は工場に委託するのが一般的です。スラッシュ成型でソフビを立ち上げる場合の初期費用は100万〜200万円程度とされています(出典: ソフビ制作ガイド 第1章、2026年7月時点)。
自宅で代替できるのは「ソフビそのもの」ではなく、別の素材で同じ形を作る方法です。
- シリコン型とレジンで少量を複製する。素材は硬いレジンになりますが、同じ形を数個から作れます。
- 3Dプリンタで出力する。型を作らず、データから1個ずつ出力します。3MFデータを自宅の3Dプリンタで印刷する準備は3MFファイルを自宅3Dプリンタで印刷する準備で解説しています。
- 1個だけ外部に出力を頼む。自宅に設備がなくても、3Dデータを外部の出力サービスに持ち込めます。1個から作る場合の進め方はフィギュアを1個から作る方法を参照してください。
どの方法も、ソフビ特有のやわらかい質感や中空の構造にはなりません。「ソフビとして作りたい」のか「同じ形を少量作れればよい」のかを先に決めておくと、選ぶ方法がはっきりします。
4. 塗装と仕上げ
成形したソフビは、型の合わせ目に出るバリを切り取り、塗装し、パーツを組み立てて完成します(出典: 中空工房「ソフビ製造工程」、2026年7月時点)。量産品では、この工程まで工場が担うのが一般的です。
個人で塗装する場合は、塗料と素材の相性に注意が必要です。やわらかいビニール素材に塗る塗料は、塗料メーカーが案内している対応素材を確認してから選んでください。
塗装に入る前に配色を決めておくと、塗り直しが減ります。この配色の検討は、デジタル上で先に試せる部分です。
デジタルで置き換えられる工程と置き換えられない工程
ここまでの内容を、デジタルでできることとできないことに分けて整理します。
置き換えられる工程
- 原型の形の検討(プロポーション・全方向からの見え方の確認)
- 原型の造形そのもの(造形ソフトで作り、3Dプリンタで出力する)
- 関係者との方向性のすり合わせ(ブラウザ上で回転する3Dモデルを見ながら共有する)
- 塗装前の配色の検討
置き換えられない工程
- 金型づくり(原型からワックス転換を経て金属の型を作る)
- ソフビの成形(加熱設備を使って型の中で材料を定着させる)
- バリ取り・塗装・組立の実作業
つまり、デジタルが効くのは「形と色を決めるまで」です。形が決まってから先は実物を扱う工程で、ソフビとして作るなら工場の設備が前提になります。
よくある質問
ソフビは個人でも作れますか
原型までは個人で作れます。ソフビとして成形するには金型と加熱設備が必要なため、工場へ委託するのが一般的です。素材がソフビでなくてもよければ、シリコン型とレジンによる複製や3Dプリンタでの出力で、同じ形を個人で作ることもできます。
ソフビの原型はデジタルで作ってもいいですか
作れます。造形ソフトで作ったデータを3Dプリンタで出力し、原型として使う方法があります。AIで生成した3Dモデルを当たりとして参考にすることもできますが、そのままでは型から抜ける形になっていないため、造形ソフトでの作り込みが必要です。
ソフビに向いているデザインはありますか
丸みのある形はソフビの得意分野で、硬質でエッジの立った形は苦手とされています。角張ったモチーフを考えている場合は、デザインの段階で素材との相性を検討しておくと、後の工程で困りにくくなります。




