Blender で 3D モデルの面を作り直す(リメッシュする)方法は 2 つあります。オブジェクトモードで リメッシュ(Remesh)モディファイアー を追加する方法と、スカルプトモードの リメッシュ(ショートカット Ctrl-R)を使う方法です。テクスチャの編集は、Shading ワークスペースでマテリアルを確認しながら、テクスチャペイント(Texture Paint)モード でメッシュに直接描くのが基本の流れになります。
この記事では、AI で生成した 3D モデル(GLB)を Blender に読み込んだあと、最初に手を入れることの多いこの 2 つの作業を、公式マニュアルの記述に沿って順番に解説します。操作は 2026 年 7 月 14 日にリリースされた Blender 5.2 LTS(2026年7月時点の安定版)を基準にしています。読み込み手順そのものはFigmeeのGLBをBlenderに読み込む手順にまとめてあるので、まだインポートしていない方はそちらから進めてください。
※現在のFigmeeは、アップロードした絵やイラストからフィギュア風画像と3Dモデルデータ(GLB / 3MF)を生成・ダウンロードできるサービスです。実物の3Dプリント品の販売は準備中(Coming Soon)です。
AI生成モデルに手を入れる前に知っておくこと
読み込んだ直後のモデルを編集モードで見ると、面が細かい三角形で埋め尽くされていることがあります。これは不具合ではありません。Blender の公式マニュアルには、glTF への書き出し時に「四角面と N ゴンは自動的に三角形に変換される」と明記されています(出典: Blender Manual - glTF 2.0、2026年7月時点)。GLB は表示のための形式なので、そもそも編集しやすい面の並びを保つようには設計されていないのです。
そのため、AI 生成に限らず、外部から受け取った GLB を本格的に編集するときには「面の流れを作り直す」工程が入ります。この作り直しには、大きく分けて 2 つの考え方があります。
| 方法 | やること | 向いている場面 | 手間 |
|---|---|---|---|
| リメッシュ | Blender が自動で新しい面を張り直す | 形をざっくり整える・彫刻の下地を作る | 数分 |
| リトポロジー | 元の形に沿って手作業で面を貼り直す | アニメーション用に変形へ強い面の流れを作る | 数時間〜 |
公式マニュアルは、この違いをはっきり書いています。「自動リメッシュツールは、一般に変形に適したトポロジーにはならない。したがってキャラクターをスカルプトしてアニメーション用に整理したい場合は、リトポロジーと呼ばれる工程を手作業で行うのが普通」(出典: Blender Manual - Retopology、2026年7月時点)。
つまり リメッシュは「動かすための整形」ではなく「形を触りやすくするための整形」 です。回して眺める、静止したまま飾る、3D プリント用のデータにする——こうした用途ならリメッシュで十分足りますが、キャラクターを歩かせたい場合はリトポロジーとリギングという別の工程が待っています。ここを最初に把握しておくと、作業計画が崩れません。
方法A:リメッシュモディファイアーを使う
いちばん手軽なのがモディファイアーです。元のメッシュを壊さずに結果をプレビューでき、気に入らなければ削除すれば元に戻ります。
- オブジェクトモードで対象を選択する(10 秒)。プロパティエディターの、スパナのアイコン(モディファイアープロパティ)を開きます。
- 「モディファイアーを追加 > 生成 > リメッシュ」を選ぶ(20 秒)。追加した瞬間に、既定の設定でビューポートの見た目が変わります。
- モードを選ぶ(1 分)。後述の 4 種類から目的に近いものを選びます。
- 解像度を調整する(2 分)。粗すぎ・細かすぎの中間を探ります。
- 納得したら「適用」する(10 秒)。モディファイアーのドロップダウンから適用すると、結果が実際のメッシュに焼き付きます。
モードの違い
公式マニュアルによれば、リメッシュモディファイアーには基本のモードが 3 つあり、加えて Voxel モードがあります。出力されるトポロジーは 3 モードでほぼ同じで、変わるのはスムージング だと説明されています(出典: Blender Manual - Remesh Modifier、2026年7月時点)。
| モード | 挙動 | 使いどころ |
|---|---|---|
| Blocks(ブロック) | スムージングが一切かからない | ボクセル風・角ばった表現をあえて出す |
| Smooth(スムーズ) | なめらかな表面を出力する | 有機的な形をざっくり整える |
| Sharp(シャープ) | Smooth に似ているが鋭い辺と角を保持する | エッジのある造形を崩したくないとき |
| Voxel(ボクセル) | OpenVDB で新しい多様体メッシュを生成し、元の体積を保とうとする | 面が破綻したモデルを閉じた形に作り直す |
Sharp モードには Sharpness があり、値を大きくすると入力に近い辺が生成され、小さくするとノイズが除去されます。Blocks / Smooth / Sharp では Octree Depth(オクツリー深度) が解像度を決め、値が小さいと面が大きく、大きいと出力が密になります。Scale(スケール) で結果をさらに微調整でき、値を低くすると実質的に解像度が下がります。
Voxel モードでは Adaptivity(適応度) が使えます。これは「ディテールが不要な箇所のジオメトリを単純化して最終的な面数を減らす」オプションで、必要のない面に三角形分割が入ります。面数を抑えたいときに効きますが、細部が甘くなるトレードオフがあります。
そのほか、共通のオプションとして Remove Disconnected(分離した部分を削除) があります。薄い部分が切り離されて小さな破片メッシュができてしまうことがあり、これを取り除く機能です。Threshold(しきい値) で「どの程度小さければ削除するか」を決めます。Smooth Shading(スムーズシェーディング) を有効にすると、フラットシェーディングではなくスムーズシェーディングで面が出力されます。ただし公式マニュアルは「入力面のスムーズ/フラットの設定は保持されない」と注記しています。
平面には効かない点に注意
公式マニュアルには重要な注記があります。「入力メッシュにはある程度の厚みが必要です。入力が完全にフラットな場合は、リメッシュモディファイアーの上にソリッド化(Solidify)モディファイアーを追加します」。板状のパーツや、極端に薄い装飾がうまくリメッシュできないときは、この順番を思い出してください。
方法B:スカルプトモードのリメッシュを使う
彫刻するように形を直したい場合は、スカルプトモードのリメッシュのほうが扱いやすいことがあります。スカルプトモードのヘッダー「Tool Settings(ツール設定)> Remesh」、またはサイドバーの Tool タブから開けます。ショートカットは Ctrl-R です。
主な設定は次のとおりです(出典: Blender Manual - Remesh(Sculpt Mode)、2026年7月時点)。
- Voxel Size(ボクセルサイズ): リメッシュ後のメッシュが持つ解像度、つまりディテールの量を決めます。オブジェクト空間でのボクセルの大きさで、たとえば 0.5m を指定すると、およそ 0.5m 相当のパッチが作られます(Preserve Volume が有効な場合)。値を小さくすると細部は残りますが、トポロジーは一気に密になります。
Rキーによる調整: 3D ビューポートでRを押すと、結果のボクセルサイズを示すグリッドのオーバーレイが対話的に表示されます。マウスをグリッドの中心へ近づけるとボクセルサイズが小さくなり、離すと大きくなります。Shiftを押しながら操作すると、より細かく刻めます。- Adaptivity(適応度): モディファイアーと同じく、不要な箇所を単純化して面数を減らします。ただし 0 より大きい値を入れると Fix Poles が無効になる と明記されています。
- Fix Poles: 多少のパフォーマンスと引き換えに極(多くの辺が集まる頂点)を減らし、トポロジーの流れを良くしようとします。
- Preserve(保持): Volume(元の体積)、Paint Mask、Face Sets、Color Attributes(カラー属性)を新しいメッシュへ再投影します。
既知の制限
公式マニュアルが「Known Limitations」として挙げている 2 点は、作業前に知っておく価値があります。ひとつは「リメッシュは元のメッシュデータに対してのみ働き、モディファイアー・シェイプキー・リギング等から生成されたジオメトリを無視する」こと。もうひとつは「マルチレゾリューション(Multiresolution)モディファイアーとは併用できない」ことです。モディファイアーで形を足した状態のまま彫刻モードでリメッシュしても、その分は結果に入りません。先に適用しておく必要があります。
リメッシュで失われるもの(先に知っておく)
ここが実務でいちばん重要な部分です。公式マニュアルは Voxel Remesh の説明でこう書いています。「これを実行すると、元のメッシュに関連付けられたすべてのメッシュオブジェクトデータレイヤーが失われる」。
データレイヤーには UV マップが含まれます。 UV は「テクスチャ画像のどの部分をメッシュのどの面に貼るか」という対応表なので、これが失われるとテクスチャの割り当ても一緒に外れます。つまり、色付きのモデルをリメッシュすると、形は整うかわりに色が飛ぶ、ということが起こり得ます。
| 項目 | リメッシュ後 | 補足 |
|---|---|---|
| 形(メッシュの体積) | 残る | Preserve Volume で維持を試みる |
| UV マップ | 失われる | テクスチャの貼り付け先情報が消える |
| テクスチャ画像そのもの | ファイルとしては残る | 貼り直しには UV 展開が必要 |
| カラー属性(頂点カラー) | 再投影できる | Preserve の Color Attributes を有効化 |
| Face Sets / ペイントマスク | 再投影できる | Preserve の該当項目を有効化 |
対処はシンプルです。リメッシュする前にオブジェクトを複製してバックアップを取り、色を残したいなら形の作業が終わってから塗り直す という順番にします。色を先に作り込んでからリメッシュすると、作業が二度手間になります。この関係は、色と質感がどう決まるかを理解しておくと納得しやすいので、テクスチャとは?も合わせて読んでおくと迷いません。
法線とスムーズシェードを整える
リメッシュ直後は面が角張って見えることがあります。多くの場合、これは形そのものではなく シェーディング(陰影の計算方法) の設定です。
- オブジェクトモードで対象を選択する(10 秒)。
- 「オブジェクト > スムーズシェード(Shade Smooth)」を実行する(10 秒)。メッシュの各面に「スムージング」属性が割り当てられ、ジオメトリを追加・削除しても維持されます。
- 角を残したい場合は「オブジェクト > Shade Auto Smooth」を使う(30 秒)。Smooth By Angle モディファイアーが追加され、隣り合う面のなす角度に応じて辺の鋭さが自動設定されます。このモディファイアーは常に最後に来るようピン留めされます。
- Angle(角度)を調整する(1 分)。「スムーズとみなす面法線どうしの最大角度」です。値を下げるとエッジが立ち、上げるとなめらかになります。
公式マニュアルは、スムージングについて重要な補足をしています。「スムージング機能を有効にしても、実際にはオブジェクトのジオメトリは変更されません。サーフェス全体でシェーディングが計算される方法(法線が補間される)が変わり、滑らかなサーフェスのような錯覚が与えられます」(出典: Blender Manual - Shading、2026年7月時点)。輪郭のシルエットが角張って見える場合は、シェーディングではなく面の数が足りていません。リメッシュの解像度を上げるか、細分化を検討します。
なお、Shade Smooth と Shade Flat はどちらも Smooth By Angle モディファイアーを削除します。せっかく設定した角度が消えたときは、この挙動が原因であることが多いです。両方の操作にある Keep Sharp Edges をオンにしておくと、シャープ辺のデータを壊さずに済みます。
テクスチャを確認して調整する
形が整ったら色に進みます。まずは今の状態を正しく見るところからです。
- 画面上部の Shading ワークスペースに切り替える(10 秒)。または 3D ビューポート右上のシェーディング切り替えで「マテリアルプレビュー」を選びます。ソリッド表示のままだとテクスチャの色は反映されません。
- マテリアルノードを確認する(2 分)。glTF を読み込むと、アドオンが「各 glTF マテリアルをできるだけ忠実に再現する Blender ノード群を構築」します。glTF のマテリアルシステムは Blender 独自のものとは別物なので、ゼロから組み直すより、生成されたノードを起点に触るほうが早いです。
- どのチャンネルを触るか決める(1 分)。glTF のコアなマテリアルは、Base Color(ベースカラー)/ Metallic(メタリック)/ Roughness(ラフネス)/ ベイク済みアンビエントオクルージョン / ノーマルマップ(接空間・+Y up)/ Emissive(エミッシブ)で構成されます。「色を変えたい」ならベースカラー、「テカリを抑えたい」ならラフネスです。
- UV 展開があるか確認する(1 分)。テクスチャペイントを使うにはメッシュが UV 展開済みである必要があります。公式マニュアルは「UV レイヤーが検出できない場合、Blender は警告メッセージを表示します」と説明しています。
- テクスチャペイントモードで描く(10 分〜)。3D ビューポートのモードセレクターから「テクスチャペイント」を選ぶと、マウスがブラシになり、メッシュに直接描けます。画像エディターでモードを「ペイント」に切り替えて、平面の画像として描くこともできます。
テクスチャペイントは 3D ビューポートと画像エディターの両方で動きます。3D ビューポートのテクスチャペイントモードでは、UV に投影する形でメッシュへ直接描画します(出典: Blender Manual - Texture Paint Introduction、2026年7月時点)。
動作を軽く保つコツも公式に書かれています。「テクスチャペイントは、画像が一辺 2 の累乗の正方形(256×256、512×512、1024×1024 など)のときに高速で応答性が良い」。半端なサイズの画像で重いと感じたら、まずここを疑ってください。UV 展開がない場合は、通常の UV 展開ツールを使うほか、テクスチャペイントモードで Simple UVs を追加する方法も案内されています。
つまずきやすい点と対処
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| リメッシュしても薄い部分が消える | 入力が完全にフラット | ソリッド化モディファイアーをリメッシュの上に追加する |
| リメッシュ後に極端に重くなった | ボクセルサイズが小さすぎる | サイズを上げるか Adaptivity で面数を落とす |
| 小さな破片が散らばる | 薄い部分が切り離された | Remove Disconnected を有効にし Threshold を調整 |
| リメッシュに変更が反映されない | モディファイアー由来のジオメトリは無視される | 先にモディファイアーを適用する |
| リメッシュしたら色が消えた | UV を含むデータレイヤーが失われた | 複製を残し、色は形の確定後に塗り直す |
| 角張って見える | シェーディングの設定 | Shade Smooth / Shade Auto Smooth を試す |
| 輪郭だけ角張ったまま | 面の数が不足 | リメッシュの解像度を上げる |
面数と表示の重さの関係はポリゴン数とは?で整理しています。用途ごとにどれくらいの面数を目安にすればよいかはローポリとハイポリの違いが参考になります。
よくある質問
リメッシュとリトポロジー、どちらを先にやるべきですか?
目的次第です。回して眺める・静止させて見せる・3D プリントに回す、といった用途ならリメッシュだけで足ります。アニメーションさせたいなら、公式マニュアルが書くとおり自動リメッシュのトポロジーは変形に向かないため、リトポロジーの工程が必要になります。先にリメッシュで形を確定させ、必要になった段階でリトポロジーへ進むのが一般的な順番です。
リメッシュしたら色が消えました。元に戻せますか?
その場での取り消し(Ctrl-Z)が効く範囲なら戻せますが、確定してしまった場合は UV とテクスチャの割り当てを作り直すことになります。Voxel Remesh は元メッシュのデータレイヤーをすべて失う仕様なので、リメッシュ前にオブジェクトを複製しておくのが確実です。頂点カラーで色を持っている場合に限り、Preserve の Color Attributes で再投影できます。
リメッシュしたモデルはそのまま3Dプリントできますか?
形状としては扱いやすくなります。Voxel モードは「多様体メッシュ」を生成しようとするため、穴の空いた面や裏返った面が原因のエラーが減ることがあります。ただし実際に印刷できるかは、厚みや自立性など別の条件にも左右されます。印刷側の準備は3MFファイルを自宅3Dプリンタで印刷する準備にまとめてあります。
まとめ
Blender でのリメッシュは、モディファイアー(非破壊で試せる)とスカルプトモード(対話的に調整できる)の 2 つの入り口があり、目的に応じて選びます。モードは Blocks / Smooth / Sharp / Voxel の 4 種類で、変わるのは主にスムージングです。解像度は Octree Depth かボクセルサイズで決め、面数を抑えたいときは Adaptivity を使います。
そして、いちばん見落としやすいのが リメッシュで UV とテクスチャの割り当てが失われる という点です。複製を残してから作業し、色は形が固まってからテクスチャペイントで整える——この順番さえ守れば、やり直しはほとんど起きません。角張って見えるときはシェーディング(Shade Smooth / Shade Auto Smooth)を先に疑い、それでも輪郭が角張るなら面の数を増やす、と切り分けてください。
読み込みの手順から確認したい場合はFigmeeのGLBをBlenderに読み込む手順へ、色と質感の仕組みを基礎から押さえたい場合はテクスチャとは?へ進むと、この記事の内容がつながって理解できます。




