マスコットキャラクターを3D化する方法は、制作会社や3Dモデラーに依頼するか、手元のイラスト1枚からAIで3Dモデルを作るかの2つです。どちらの場合も、外部のデザイナーに描いてもらったキャラクターなら、先に契約書で「立体にしてよいか」を確かめるところから始めます。
この記事は、会社・自治体・団体・お店でキャラクターを担当している方に向けて、3D化でできること、費用の目安、契約書で見る箇所、AIで3Dモデルを作る手順、SNSでの出し方、公式の素材にする前に決めることを順にまとめます。AIの3Dモデルはイラストから作るもので、着ぐるみ・ぬいぐるみ・グッズを撮った写真からは作れません。
※現在のFigmeeが提供しているのは、描いたイラストから作るフィギュア風画像、3Dモデルデータ(GLB / 3MF)、3Dモデルの回転動画です。実物の3Dプリント注文は準備中(Coming Soon)で、始まった場合も発送は日本国内のみです。
※本記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。契約や権利の個別の判断は、弁護士などの専門家にご相談ください。
マスコットキャラクターを3D化すると何ができる?
3D化すると、1枚のイラストでは見せられなかった横顔・後ろ姿・回る姿を素材にできます。「回して見せる」「角度違いの画像を作る」だけなら、動かすための骨組み(リギング)は要りません。アニメーションや配信で動かす、アプリに組み込むといった使い方には、別の工程と費用がかかります。
キャラクターは作ったものの、絵が1枚しか無く出番が増えない、という悩みは珍しくありません。キャラクターの動く素材を作る会社のプレスリリースでも、担当者の悩みとして「キャラクターをつくったものの、ホームページに載せたまま、SNSへの登場はときどき。」と書かれています(出典: 株式会社カーフ「ますこっとデコ」のプレスリリース、PR TIMES・2026年10月15日)。
使い方ごとに、必要なものと、AIで作る3Dモデルで足りるかを整理します。
| 使い方 | 必要なもの | AIの3D(Figmee)で足りるか |
|---|---|---|
| SNSで回る姿を見せる | 形と色のある3Dモデル | 足りる(トークンを使わずに回転動画を書き出せる) |
| 横顔・後ろ姿を確かめる | 形と色のある3Dモデル | 足りる(ブラウザで360°回せる) |
| ポーズ違いの画像を作る | 同じキャラクターの別のポーズ | 一部(キャラクターを登録して、ポーズを変えたフィギュア風画像を作れる。見た目を保つようにしながら作るが、毎回設定どおりになるとは限らない) |
| アニメーション・配信・ARで動かす | 骨組み(リギング)と動きのデータ | 足りない(リギング・アニメーションには対応していない) |
| 立体のグッズ・展示物を作る | 出力用のデータと出力先 | 一部(3MFを外部の出力サービスに入稿できる。Figmeeでの3Dプリント注文は準備中・Coming Soon) |
上の2行のように「見せる」ことが目的なら、AIで作る3Dモデルからでも始められます。動かすことが目的なら、最初から制作会社に相談する方が近道です。
マスコットキャラクターの3D化にかかる費用は?
3Dキャラクターの制作を依頼すると、人型で30万円〜200万円以上という相場が示されています。AIで自分で試すなら、Figmeeでは3Dモデル1体が5トークン(550円で5トークン)で、アカウントにつき初回1体は無料です。金額の差は、どの工程まで頼むかで生まれます。
| 方法 | 費用の目安 | 出典・条件 |
|---|---|---|
| 3Dキャラクターの制作を依頼(人型) | 30万円〜200万円以上 | メタバース総研「3Dモデル制作の依頼相場は?」、2025年11月4日更新 |
| 3Dキャラクターの制作を依頼(人型以外) | 20万円〜150万円以上 | 同上 |
| 3Dモデリングの外注(人型キャラクター) | 5万円〜100万円 | クラウドソーシングTimes「3Dモデリング費用の相場」、2025年6月2日更新 |
| 3Dモデリングの外注(動物など人型以外) | 数千円〜50万円 | 同上 |
| 動かすための追加:リギング | 5万円〜20万円 | 同上 |
| 動かすための追加:簡単な動きのアニメーション | 3万円〜5万円 | 同上 |
| AIで作る(Figmee) | 3Dモデル1体5トークン(550円で5トークン)。アカウントにつき初回1体無料 | 2026年11月時点。生成に失敗したときはトークンが自動で戻る |
相場の金額は出典元の時点の目安で、形の複雑さ、渡せる資料の量、納品の形式、修正の回数、著作権を譲り受けるかどうかで変わります。3Dではありませんが、キャラクターのイラストから動きのあるSNS用の素材を作るサービスもあり、前出の「ますこっとデコ」のSNS活用プラン(イラスト)は、約3〜5秒の動き8種などで通常55万円〜(税別)、納期は約2週間とされています(出典: 前掲のプレスリリース)。工程ごとの内訳や依頼先ごとの比較は、キャラを3D化する費用を比較するにまとめています。
AIで作る3Dモデルは、制作会社の仕事の代わりにはなりません。細部を設定どおりに直すことはできず、描かれていない背中側はAIが推測で補います。それでも、制作会社に見積もりを頼む前や、社内で予算を相談する前に「このキャラクターを立体にするとどう見えるか」を、少ない費用で確かめる材料になります。
自社キャラを3Dにする前に確認する権利は?
外部のデザイナーに描いてもらったキャラクターの著作権は、代金を払っただけでは、デザイナーに残るのが原則です。著作権を譲り受ける契約でも、契約書に第27条(翻案権など)と第28条(二次的著作物の利用に関する権利)が明記されていなければ、これらの権利はデザイナーに残ると推定されます(著作権法第61条第2項)。イラストを立体にすることはこの翻案に関わりうるため、3D化の前に契約書のこの箇所を確かめてください。
文化庁は、制作の依頼と契約についてのQ&Aで、次のように説明しています(出典: 文化庁「文化芸術活動に関する法的問題についてよくあるご質問」Q5-②・Q5-④・Q5-⑤)。
- 著作権は、一部だけを譲渡することもできる
- 第27条・第28条の権利は、契約書に明記しなければ譲渡した側に残ると推定される。そのため、契約書に「著作権法27条及び28条に定める権利を含む」と書いて、全体を譲渡する趣旨をはっきりさせる
- 著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)は譲渡できず、契約で「行使しない」と定める特約(不行使特約)が入ることがある
契約書の書き方ごとに、3D化の前にすることを整理します。
| 契約書の書き方 | 3D化の前にすること |
|---|---|
| 著作権を譲渡し、「第27条及び第28条の権利を含む」と書かれている | 立体化を含めて譲り受けた趣旨がはっきりしている。著作者人格権の不行使特約の有無も確かめる |
| 「著作権の一切を譲渡する」とだけ書かれている | 第27条・第28条は明記されていないとされ、デザイナーに残ると推定されうる。デザイナーに3D化の予定を伝え、了承を書面で残す |
| 利用の許諾(ライセンス)だけ | 許諾の範囲に、立体化・3Dモデル・SNSでの公開が入っているかを確かめる |
| 契約書が見当たらない | 発注した部署や当時の記録を探す。見つからなければデザイナーに相談する |
この推定は、契約の経緯や利用の実態によって覆ることもあります。ひこにゃん事件(大阪高裁平成23年3月31日決定)では、契約書に明記は無かったものの、仕様書の「立体使用の予定」の記載などを根拠に、立体使用に係る翻案権の譲渡が認められました。一方、企業の記念事業として作られたヒーローキャラクターをめぐるヤマシロン事件(大阪地裁令和8年1月20日判決)では、第27条・第28条の権利が制作者に残ると判断されています(出典: 山崎道雄「著作権法61条2項の推定覆滅が問題となった事例(ヤマシロン事件)」知財ぷりずむ(No.284・2026年5月))。どちらに近いかは個別の事情で決まるため、自社の契約で判断がつかないときは専門家に相談してください。
デザイナーに相談するときは、「3Dモデルにして、SNSで回る動画として公開したい」のように、作るものと出す場所を具体的に伝えると話が早く進みます。AIのサービスに絵を読み込ませることへの考え方は人によって違うため、AIで3Dにする場合はそのことも伝えて了承を得ておくと、後のすれ違いを防げます。3Dモデル全般の権利の考え方は3Dモデルの著作権入門、キャラクターを立体のグッズとして売るときの整理は創作キャラのフィギュアは売っていい?にあります。
1枚のイラストからAIで3Dにする手順は?
Figmeeでは、イラストをアップロードしてフィギュア風画像(3D画像)を作り、そこから3Dモデルを作って、回転動画を書き出します。最初の1体は、操作の時間だけなら20分ほどが目安です(生成を待つ時間は混み具合で変わります)。
- 使うイラストを選ぶ(目安10分):キャラクターの全身が見える1枚を選びます。紙の絵を撮影・スキャンした画像か、デジタルのイラスト(PNG・JPEG・WebP、1枚20MBまで)が使えます。着ぐるみ・ぬいぐるみ・グッズを撮った写真や、写真のように見える画像は使えません。外部のデザイナーが描いた絵は、前の節の確認を済ませてから使います。
- アップロードして3D画像を作る(操作は2分ほど):品質を「標準」「Pro」「Max」から選んで「3D画像を生成」を押します。使うトークンは品質に応じて1〜3です。写真だと判定されると生成は止まり、使ったトークンは自動で戻ります。
- 3Dモデルを作る(操作は1分ほど):「3Dモデルを生成」を押します。5トークンを使い、アカウントにつき初回1体は無料です。できあがったらブラウザ上で360°回し、横と後ろの形を確かめます。描かれていない背中側はAIが推測で補うため、公式の設定と違うところが無いかを見ます。
- 回転動画を書き出す(目安3分):作品の画面で「360°動画を作る」を押し、「書き出す」「保存する」の順に進みます。トークンは使いません。パソコンのChrome・Edge、AndroidのChromeで書き出せます。SafariとFirefoxでは使えない場合があります。
- ポーズ違いを作る(任意・目安5分):作品の画面で「キャラクターとして登録」を押し(トークンは使いません)、キャラクターの画面の「新しいポーズを生成」で、させたいポーズや場面を200文字まで書きます。品質に応じて1〜3トークンで、見た目を保つようにしながらポーズを変えたフィギュア風画像ができます。
登録したばかりのアカウントには、登録特典として無料のトークンが5つ付きます(登録から3か月有効・同じメールアドレスでの初回登録時のみ)。アップロードした画像は3D画像・3Dモデルを作るためだけに使われ、AIの学習には使われません。自分で作品を公開しない限り、第三者に公開されることもありません。社外にまだ出していないキャラクターを試すかどうかを決めるときの材料にしてください。
SNSにはどう出す?
いちばん手軽なのは、回転動画をそのまま投稿することです。回転動画は、約6秒で2回転する正方形のもので、右下にFigmeeのロゴが入ります。ロゴを消す、背景色や長さを変えるといった設定はありません。
| 出し方 | 作り方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 回転動画を投稿する | 作品の画面の「360°動画を作る」 | 約6秒・2回転・正方形・右下にFigmeeのロゴ。形式はブラウザで決まり、MP4かWebMになる。SNSによってはWebMを投稿できない場合がある |
| 共有リンクを貼る | 作品の画面の「作品をシェア」の横のスイッチで公開する | 共有ページに作品のタイトル・3Dモデル・アップロードした元のイラスト・作成日が出る。公開すると「みんなのギャラリー」にも並ぶ |
| ポーズ違いの画像を投稿する | キャラクターを登録して「新しいポーズを生成」 | 毎回設定どおりの見た目になるとは限らないため、投稿の前に公式の設定画と見比べる |
投稿のネタに困ったときは、次のような使い方が考えられます。
- 新しいキャラクターの紹介で、正面のイラストのあとに回転動画を出す
- 季節や行事に合わせたポーズ違いを作る
- 「後ろ姿はこうなっています」と、イラストでは見せていなかった角度を紹介する
反応は投稿の内容や時期で変わり、3Dにすれば反応が増えるとは限りません。回転動画の作り方をほかの方法と比べたいときは、3Dモデルを回転動画にしてSNSに投稿する方法も参考になります。
共有リンクの公開をやめると、Figmeeの共有ページは表示されなくなります。ただし、SNSに投稿した内容、SNSに表示されたリンクのプレビュー、ほかの人が保存した画像は残ることがあります。社外に出す前に、社内の確認を済ませてください。
AIで作った3Dを公式の素材にしてよい?
公式の素材にするかどうかは、それぞれの会社・団体が判断することになります。判断の前に、元のイラストの権利・デザイナーの了承・社内のルール・AIで作ったことの書き方を決めておくと安全です。Figmeeの利用規約では、アップロードした画像の著作権はアップロードした本人にあり、生成された画像の著作権は適用される法律に従うとしています。商用で使う前に、利用規約を確認してください。
公式の素材にする前に、上の4つに「設定との違い」を加えた次の5つを確かめます。
- 元のイラストの権利:前の節の、契約書の第27条・第28条の確認が済んでいるか
- デザイナーの了承:AIで3Dにすること、それを公開することを伝えてあるか
- 社内のルール:生成AIで作ったものを社外に出すときの決まりがあるか
- AIで作ったことの書き方:投稿に書くか、どう書くか
- 設定との違い:AIが補った背中側などが、公式の設定と食い違っていないか
動かしたい、細部まで設定どおりに作り込みたい、何年も使う主役の素材にしたい、権利を契約でまとめて固めたい、という場合は制作会社への依頼が向いています。
| Figmeeが向いている場合 | 向いていない場合 |
|---|---|
| まず立体にしたときの見え方を確かめたい | 配信・アニメーション・ARでキャラクターを動かしたい |
| SNS用に、回転動画や角度違いの素材を増やしたい | ロゴの無い動画や、背景色を指定した動画が必要 |
| 予算を相談する前に、試作を見せながら話したい | 細部まで設定どおりに作り込んだ公式の3Dモデルが必要 |
| 手元にキャラクターのイラストがある | 着ぐるみ・ぬいぐるみの写真しか無い |
よくある質問
着ぐるみやぬいぐるみの写真から3Dにできますか?
できません。Figmeeは描いたイラストを3Dにするサービスで、実在の人物・動物・物・風景を撮った写真や、写真のように見える画像は使えません。写真と判定されると生成は止まり、使ったトークンは自動で戻ります。キャラクターのイラストを使ってください。
回転動画のロゴを消したり、背景色を変えたりできますか?
できません。回転動画は約6秒・2回転の正方形の動画で、右下にFigmeeのロゴが入ります。ロゴの無い映像や背景を指定した映像が必要なときは、GLBをBlenderなどの3Dソフトに読み込んで自分で書き出すか、制作会社への依頼を検討してください。
3Dモデルをアニメーションやイベントの映像で動かせますか?
Figmeeで作る3Dモデル(GLB / 3MF)は、動きのない形と色のデータです。骨組みを入れて動かす設定(リギング)やアニメーションには対応していません。動かすには、3Dソフトでリギングを行うか、制作会社に依頼する必要があります。リギングの考え方はリギングとはで解説しています。
実物のグッズや立体の展示物にできますか?
Figmeeでの実物の3Dプリント注文は準備中(Coming Soon)で、いまは注文できません(始まった場合も発送は日本国内のみです)。保存できる3MFは、ご自身の3Dプリンターや、3MFを受け付けている出力サービスで使うためのデータです。
まとめ
マスコットキャラクターの3D化は、まず契約書で立体にしてよいかを確かめるところから始めます。外部のデザイナーに描いてもらったキャラクターは、第27条・第28条が明記されていなければ、立体化に関わる権利がデザイナーに残ると推定されるため、了承を書面で残してから進めてください。
そのうえで、「回して見せる」「角度違いの素材を増やす」が目的なら、イラスト1枚からAIで3Dモデルを作り、トークンを使わない回転動画でSNSに出せます。動かす・細部まで作り込む・長く主役として使う、といった目的なら、制作会社への依頼が向いています。立体にしたときの見え方を先に確かめておくと、どちらに進むかを決めやすくなります。




