手描きの2DキャラクターをUnityの中で立体として動かしたい——この目的にたどり着いたとき、最初に知っておくべき事実があります。Unity自体には、平面のイラストを自動で3Dモデルに変換する機能はありません。Unityの公式ドキュメントで「2Dと3D」と書かれているのは、プロジェクトのテンプレートやレンダラーの構成の話であり、絵を立体データに作り替える機能を指すものではありません。したがって作業は2段階になります。まずイラストを3Dモデルデータに変換し、次にそのデータをUnityへ取り込む、という流れです。この記事では両方の工程と、取り込んだ後に必ず発生する調整までを順に解説します。
※現在のFigmeeは、アップロードした絵やイラストから、フィギュア風画像と3Dモデルデータ(GLB / 3MF)を生成・ダウンロードできるサービスです。実物の3Dプリント品の販売は準備中(Coming Soon)です。
全体の流れ:3つの工程
| 工程 | やること | 主なつまずき |
|---|---|---|
| ① 変換 | 2Dイラスト → 3Dモデルデータ(GLB等) | どの手段を選ぶか・元絵の向き |
| ② 取り込み | Unityプロジェクトへインポート | glTF形式は追加パッケージが必要 |
| ③ 調整 | スケール・マテリアル・負荷・当たり判定 | そのままでは使えないことが多い |
工程①を飛ばして「Unityにイラストを入れれば立体になる」と考えていると、最初の段階で止まります。逆に、①さえ済んでいれば②以降はUnityの標準的な作業になります。
工程①:イラストを3Dモデルデータにする
2Dイラストから3Dモデルを作る手段は3つあります。
自分でモデリングする Blenderなどの3DCGソフトで、イラストを下絵として立体を作る方法です。形を完全にコントロールできますが、キャラクターモデリングは習得の負担が大きい領域です。
外注する 3Dモデラーに依頼する方法です。品質は最も安定します。三面図(正面・側面・背面)を用意できると、依頼側の意図が伝わりやすくなります。
AIで変換する イラスト1枚から3Dモデルデータを生成する方法です。Figmeeはこの方式で、ブラウザに絵をアップロードするとフィギュア風画像と3Dモデルデータ(GLB / 3MF)を生成し、ダウンロードできます。変換の仕組みと向いている絵の条件はイラストを3D化する方法で詳しく解説しています。
Unityへ持ち込む前提なら、GLB形式で書き出せる手段を選ぶのが扱いやすいです。GLBは3Dの形状・色・テクスチャを1つのファイルにまとめた形式で、ファイルの受け渡しが1本で済みます(GLBファイルとは、形式の違いは3Dファイル形式の違いを参照)。
工程②:UnityでGLBを読み込む
Unityは標準ではglTF / GLB形式のインポートに対応していないため、パッケージを追加します。Unity Technologiesが提供する公式パッケージが Unity glTFast です。もとはオープンソースのプロジェクトでしたが、現在はUnityの公式パッケージとして提供されています。
インストール手順
公式ドキュメントに記載されている手順は次のとおりです(出典: Unity glTFast Documentation(Unity公式)、2026年7月時点)。
- Unityプロジェクトを開き、
Window > Package Managerを選択します。 - 左上の追加(+)ボタンを押し、
Add package by nameを選択します。 - Name 欄に
com.unity.cloud.gltfastと入力し、Addを押します。
インストールが完了すると、GLBファイルをプロジェクトの Assets フォルダへドラッグするだけでインポートされ、通常のアセットと同じようにシーンのヒエラルキーへ配置できます。
対応範囲
Unity glTFastは、全プラットフォームと、Built-in / Universal(URP)/ High Definition(HDRP)の各レンダーパイプラインに対応しています。マテリアル面ではPBRメタリック・ラフネスモデル、アンライト、法線マップ・オクルージョンマップ・エミッションマップ、アルファモード(OPAQUE / MASK / BLEND)、両面表示に対応します。メッシュ側は頂点位置・法線・接線・UV・頂点カラーに加え、スキン(1頂点あたり最大4ジョイントまで)、Draco圧縮やmeshoptimizer圧縮にも対応しています(出典: Unity glTFast Features(Unity公式)、2026年7月時点)。
エディタでのインポートだけでなく、ビルドしたアプリの実行時にglTFを読み込む用途にも対応しているため、ユーザーが持ち込んだモデルをゲーム内で表示する、といった設計も可能です。
工程③:取り込んだ後に必ず確認する4点
インポートが成功しても、そのままゲームに使える状態とは限りません。次の4点は毎回確認してください。
1. スケール
シーンに配置した瞬間に、キャラクターが巨大だったり極端に小さかったりすることがあります。元の3Dデータが実寸を意識して作られていない場合に起こる現象です。Transform の Scale で調整するか、他のオブジェクトとの相対比較で基準を決めてください。地面や既存キャラクターと並べて確認するのが確実です。
2. マテリアルとシェーダー
URPやHDRPを使っているプロジェクトでは、インポート直後のマテリアルが想定と違う見え方になることがあります。特にアウトライン表現やトゥーンシェーダーを使っている2D調のゲームでは、PBR(物理ベース)の陰影がそのまま乗ると、絵柄と噛み合わない印象になりがちです。プロジェクトのアートスタイルに合わせて、マテリアルのシェーダーを差し替える判断が必要になります。テクスチャの考え方はテクスチャとはを参照してください。
3. ポリゴン数と負荷
AIで生成したモデルや、細部を作り込んだモデルは、リアルタイム表示の観点では面の枚数が多い場合があります。面が多いほど描画と処理の負荷が上がり、モバイル向けほど影響が出ます(ポリゴン数とは?)。画面に同時に何体出すのかを基準に、必要ならBlenderなどで面を減らしてから取り込みます。編集ルートはAIで作った3Dモデルを編集する方法総覧に整理してあります。
4. コライダー(当たり判定)
インポートされたモデルには当たり判定が自動では付きません。プレイヤーや敵として使うなら、Box Collider や Capsule Collider を自分で追加します。形状に沿った Mesh Collider をそのまま使うと処理負荷が高くなりやすいため、簡易な形で近似するのが一般的です。
「動かす」には何が足りないのか
ここが最も現実を知っておくべき部分です。インポートしたモデルをキャラクターとして歩かせたり、ポーズを変えたりするには、骨(ボーン)とその設定が必要です。
Unityでヒューマノイドとしてアニメーションを扱うには、モデルのスケルトンが一定の要件を満たす必要があり、最低でも15本のボーンが求められます。ボーンには身体の部位が分かる名前を付け、階層はキャラクターの自然な構造に従っている必要があります。加えて、より良い結果を得るにはモデルを適切なTポーズで用意することが推奨されています(出典: Unityマニュアル「アニメーション用モデルの作成」、2026年7月時点)。
イラストから生成した3Dモデルには、通常この骨が入っていません。つまりそのままではHumanoidのアニメーションを適用できません。動かしたい場合は、Blenderなどでリギング(骨を仕込む作業)を別途行う必要があります。リギングそのものの解説はリギングとはにまとめています。
また、Unity glTFastの機能一覧では、モーフターゲットはスパースアクセッサのみ対応、Mecanimのアニメーションは互換性のために読み込めるものの再生はできない、と明記されています。DOTS向けの実装は実験的な段階で、アニメーション・スキニング・モーフターゲット・カメラ・ライトは未対応とされています(出典: 前掲 Unity glTFast Features、2026年7月時点)。動かす前提の設計をするなら、これらの制限を先に確認しておいてください。
どこまでが現実的か
正直に線を引きます。イラストから変換した3Dモデルを、リギングなしでUnityに持ち込んで実用になるのは、次のような使い方です。
- 展示・回転表示:ギャラリー画面やキャラクター紹介画面で、モデルを回して見せる
- 背景・小物:シーンに配置する静的なオブジェクト、コレクション要素、置物としての表現
- 静止したキャラクター:立ち絵の代わりに立体を置き、カメラワークで動きを出す
- プロモーション素材:ストアページやトレーラー用の映像素材として使う
一方、主人公のフルアニメーションや、表情が細かく変化するキャラクターを目的にするなら、リギングとウェイト調整の工程は避けて通れません。ここは自作か外注かの判断になります。イラストからの変換は「立体の出発点を用意する工程」であり、ゲーム内で自在に動くキャラクターまでを一足飛びに用意するものではない、と理解しておくと計画が崩れません。
なお、2Dスプライトと3Dモデルを同じシーンで混在させる構成自体は可能ですが、URPで2D向けのレンダラーを使っている場合はレンダラーの構成によって見え方が変わることがあります。混在させる予定があるなら、小さなテストシーンで表示を確認してから本番のシーンに組み込むのが安全です。
よくある質問
Unityに標準でglTF / GLBのインポート機能はありますか?
標準では対応していません。Unity Technologiesが提供する公式パッケージ Unity glTFast(com.unity.cloud.gltfast)をPackage Managerから追加することで、エディタでのインポートと実行時の読み込みに対応できます。
FBXとGLB、Unityに持ち込むならどちらが良いですか?
FBXはUnityが標準で扱える形式なので、追加パッケージなしで済むという利点があります。GLBは色やテクスチャを1ファイルにまとめられるため受け渡しが簡単で、Web表示など他用途との共通化がしやすい形式です。すでに手元にあるデータの形式に合わせて選ぶのが実務的です。形式の違いは3Dファイル形式の違いで整理しています。
AIで生成したモデルをUnityでアニメーションさせられますか?
そのままではできません。Humanoidのアニメーションを使うには最低15本のボーンを持つスケルトンが必要で、イラストから生成したモデルには通常ボーンが含まれていないためです。Blenderなどでリギングを行えば動かせるようになりますが、その工程は別途必要になります。
インポートしたモデルが真っ黒/真っ白に表示されます
レンダーパイプラインとマテリアルの不一致が原因であることが多いです。プロジェクトがURPやHDRPの場合、マテリアルのシェーダーがそのパイプライン向けになっているかを確認してください。ライトがシーンに配置されているかも合わせて確認します。
モデルが重くて動作が遅くなります
面の枚数が多い可能性があります。同時に表示する体数を基準に必要な軽さを決め、Blenderなどで面を減らしてから再インポートしてください。テクスチャの解像度を下げることも負荷軽減に効きます。
2Dゲームのプロジェクトに3Dモデルを混ぜても大丈夫ですか?
構成としては可能です。ただしレンダラーの設定によって見え方が変わることがあるため、本番のシーンに組み込む前に、小さなテストシーンで表示と操作を確認しておくことをおすすめします。
まとめ
2DキャラクターイラストをUnityで3Dとして使うには、①イラストを3Dモデルデータに変換する、②Unity glTFastでGLBを取り込む、③スケール・マテリアル・負荷・当たり判定を調整する、という3つの工程を踏みます。Unity側の取り込みは公式パッケージを1つ追加すれば標準的な作業になりますが、その前段の変換工程は自分で用意する必要があります。
そして「動かす」までを目指すなら、ボーンの設定という別工程が待っています。Humanoidには最低15本のボーンが必要で、イラストから生成したモデルには通常含まれていません。まずは展示・背景・静止キャラクターといった用途で1体を実際に取り込み、自分のプロジェクトでどこまで使えるかを確かめるところから始めてください。




