AI生成の表記は、①法律で求められること、②投稿・頒布する場の決まり、③見る人への礼儀の3つに分けて考えると迷いません。自分で描いた絵からAIで3Dを作った場合は、「元の絵は自分で描いた」「3D(立体の画像・3Dモデル・回転動画)はAIで作った」を分けて書くのが基本です。
この記事では、pixiv・BOOTH・Instagram・コミティアの決まりを公式の資料で確かめ、出典と確認日をつけて比べます。そのうえで、場ごとにそのまま使える文例と、Figmeeの出力のどこまでがAI生成かを整理します。法律の解釈はこの記事では断定しません。一般的な情報で、法的な助言ではありません。
※現在のFigmeeが提供しているのは、描いたイラストから作るフィギュア風画像、3Dモデルデータ(GLB / 3MF)、3Dモデルの回転動画です。実物の3Dプリント注文は準備中(Coming Soon)です。また、写真や写真のように見える画像は3Dにできません(描いた絵が対象です)。
AI生成の表記はなぜ要る?
表記が要る理由は、①法律、②場の決まり、③見る人への礼儀の3つで、それぞれ決める人も、守らなかったときに起きることも違います。いちばん具体的に効いてくるのは②の場の決まりで、守らないと作品の非公開やアカウントの停止につながる場合があります。
| 層 | 決める人 | 守らなかったときに起きうること | この記事で見る箇所 |
|---|---|---|---|
| ①法律 | 国・地域 | 国によって違う | 下の「法律で表記が求められるのは?」 |
| ②場の決まり | 投稿サイト・販売サイト・SNS・イベントの運営 | 作品の非公開、出品の取り消し、アカウントの停止、参加の取り消しなど | 「場ごとのルールはどうなっている?」 |
| ③礼儀 | 見る人との関係 | 後から知った人に誤解される場合がある | 「『絵は自分、3DはAI』はどう書く?」 |
表記は、権利の問題とは別です。他の人のキャラクターを3Dにしてよいか、作った3Dを公開してよいかは、ファンアートの3Dモデルと著作権で整理しています。
法律で表記が求められるのは?
AI生成物の表示について定めた法律がある国もあります。ただ、個人が描いた絵からAIで作った3Dを投稿・頒布するときに、それぞれの法律が当てはまるかは、住んでいる国・投稿先・内容によって変わります。ここでは条文や公式の説明に書かれていることだけを並べ、当てはまるかの判断はしません。
| 国・地域 | 公式に書かれていること | 出典(2026年11月7日に確認) |
|---|---|---|
| 日本 | 「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(令和7年法律第53号)は、第8条で国民に、AIへの理解と関心を深め、国や地方公共団体の施策に協力するよう努めることを定めています。生成物にAI生成と表示することを個人に義務づける条文は、この法律には見当たりません | 日本法令外国語訳データベース(同法の日本語の条文) |
| EU | 欧州委員会の説明では、生成AIの提供者はAIが作ったコンテンツを見分けられるようにすることが求められ、ディープフェイクなど一部のAI生成コンテンツには、はっきり見える表示が求められます。AI法の透明性のルールは、欧州委員会のページによると2026年8月から適用されます | European Commission「AI Act」(2026年10月19日更新) |
| 中国 | 「人工智能生成合成内容标识办法」第10条は、利用者がネットの情報発信サービスで生成合成コンテンツを公開するとき、自ら申告し、サービスが用意する表示の機能で表示しなければならないと定めています。2025年9月1日施行です | 国家インターネット情報弁公室の公表ページ |
自分の作品や頒布に当てはまるかが気になる場合は、住んでいる国の公式の情報を確かめるか、専門家に相談してください。
場ごとのルールはどうなっている?
投稿・頒布の場の決まりは、「AI生成作品として設定・表示することを求める場」「表記の決まりは無いが、AI生成物の出し方に決まりがある場」「AI生成物そのものを出せない場」に分かれます。どの場でも、投稿や出品の前に、その時点の規約・ガイドラインを確かめるのが確実です。
| 場 | ルールの要点 | 出典 | 確認日 |
|---|---|---|---|
| pixiv | 制作過程のすべて、もしくはほとんどをAIで生成した作品は、投稿時に「AI生成作品」のチェックが必須です。作品内容と一致しない設定をつけることは禁止行為です。チェックがなくても、運営がAI生成作品と客観的に判断できる場合は、チェックを追加することがあります | pixivガイドライン「AI生成作品について」(2026年3月18日改定) | 2026年11月7日 |
| BOOTH | ガイドライン(2026年7月8日改定)に、AI生成作品の表記を求める文言は見当たりません。一方、お知らせで、特定の作品・作家への依拠性が高い商品や、大量・連続的な出品に対して、検索結果に載せない・商品やショップの強制非公開・アカウント停止の対応を示しています | BOOTHガイドライン、お知らせ(2023年5月16日)、お知らせ(2025年7月18日) | 2026年11月7日 |
| Instagram・Threads・Facebook(Meta) | AIで作ったり加工したりした写実的な動画やリアルな音声には、AIのラベルが求められる場合があります。画像はこの求めの対象外です。AIで作られたことを示す信号を検出したコンテンツには「AI情報」のラベルが付きます。漫画のような画風の風景の動画は、ラベルが要らない例として挙げられています | Metaヘルプセンター「Meta製品でAIコンテンツを特定する方法」 | 2026年11月7日 |
| コミティア(COMITIA158) | 生成AIの出力結果を主体とした作品の販売・配布・展示はできません。「AI生成物を使用したグッズ」は、生成AIを補助として使う範囲に当たらないと明記されています | COMITIA158参加申込ページ | 2026年11月7日 |
X(旧Twitter)は、確認日に公式のヘルプページを開いて確かめられなかったため、表に入れていません。Xに投稿するときは、Xのヘルプセンターで合成・加工されたメディアについてのポリシーを確かめてください。
決まりは改定されることがあります。表の確認日より後に投稿・出品する場合は、出典のページで最新の文言を確かめてください。
「絵は自分、3DはAI」はどう書く?
自分の絵からAIで3Dを作ったときは、どこを自分が作り、どこをAIが作ったかを一文で分けて書きます。ツールの名前と、描いていない側(背中など)はAIの推測であることを添えると、見る人が誤解しにくくなります。
書くときに入れる要素は次の3つです。
- 自分が作ったもの:「イラストは自分で描きました」「元絵:自作」
- AIが作ったもの:「3D(画像・モデル・動画)は、この絵をもとにAIで作りました」
- 補足(任意):使ったツールの名前、描いていない側はAIの推測であること
場面ごとの文例です。自分の言葉に直して使ってください。
文例1:SNS(X・Instagramなど)の投稿
イラストは自分で描きました。3Dの回転動画は、この絵をもとにAI(Figmee)で作ったものです。背中側など描いていない部分はAIの推測です。
文例2:pixivなど作品ページの説明欄
元絵:自作(手描き)/3D画像:元絵をもとにAIで生成(Figmee)
pixivでは、説明欄の表記とは別に、投稿時の「AI生成作品」の設定を、ガイドラインの定義に照らして選びます。3D画像そのものを作品として投稿する場合は、その画像はAIが作ったものなので、定義に当たるかを確かめてから設定してください。
文例3:頒布物・商品の説明(その場の決まりで扱える場合)
イラストは作者の手描きです。立体の画像は、このイラストをもとにAIで生成したもので、手作業で造形したものではありません。
避けたいのは、「手描き3D」「自作の3Dモデル」のように、AIが関わったことが読み取れない書き方です。3Dの部分を自分で作ったように読めると、後から知った人に誤解される場合があります。
同人誌・イベントで頒布するときは?
イベントでの頒布は、主催の参加規定がいちばん強い決まりです。コミティアの規定は、生成AIの出力結果を主体とした作品の販売・配布・展示を不可とし、「AI生成物を使用したグッズ」などを補助利用に当たらないとしているため、表記を付けても、AIで作った3Dの画像を載せた頒布物や展示は出せないと考えられます。
コミティアの規定と、自作キャラの3Dを会場の外で使う方法は、コミティア158初参加の準備で詳しく整理しています。ほかのイベントでも、生成AIの扱いは主催ごと・回ごとに違うことがあるため、申し込む回の参加規定を確かめます。
頒布の前に確かめる順番は次のとおりです。
- 参加規定で、生成AIの扱いを確かめる(目安10分):「生成AI」「AI」の語を探し、出せない物と、補助として使える範囲を読みます。
- 頒布物・展示物・告知に、AIの出力が入っているかを洗い出す(目安10分):表紙、ペーパー、ポスター、値札、SNSの告知画像まで含めて見ます。
- 出せる場合は、頒布物と告知に表記を入れる(目安10分):文例3のように、自分が作った部分とAIが作った部分を分けて書きます。
- 判断に迷う物は、主催に問い合わせる(返事まで数日):申し込みや入稿の前に余裕をもって聞きます。
通販(BOOTHなど)で頒布する場合も、販売の場の決まりを先に確かめ、商品説明に文例3のような表記を入れておくと、買う人が中身を判断しやすくなります。
表記を付けると不利になる?
表記を付けたことで見られる数がどれだけ変わるかを示す公式の数字は、この記事で開いた資料にはありませんでした。分かっている事実は、場によっては「AI生成作品を表示しない」選択を見る人ができることと、表記が必須の場で付けないと規約違反になることです。
- pixiv:AI生成作品を表示するかどうかを、見る人が選べる設定があります(初期値は「表示する」。2022年10月31日のお知らせ)。表示しない設定にしている人には、AI生成作品に設定した作品は届きにくくなると考えられます。一方で、チェックが必須の作品にチェックを付けないことは、ガイドラインに反します。
- Instagram・Threads・Facebook:ラベルが求められる写実的な動画・音声で付けなかった場合、Metaはペナルティを科すことがあると説明しています。
見られる数よりも、「付けないと規約違反になる場があること」と「後から知った人に誤解されないこと」を先に考えると、判断がぶれません。
Figmeeの出力はどこまでがAI生成?
Figmeeでは、アップロードする元の絵はあなたが描いたもので、そこから作られるフィギュア風画像・3Dモデル・回転動画はAIが生成したものです。表記では、この境目をそのまま書けば足ります。
| 物 | 作った人 | 表記の例 |
|---|---|---|
| 元のイラスト(アップロードした絵) | あなた | 「イラスト:自作」 |
| フィギュア風画像 | AI(あなたの絵をもとに生成) | 「立体の画像:AIで生成」 |
| 3Dモデル(GLB / 3MF) | AI(描いていない側はAIが推測で補う) | 「3Dモデル:AIで生成」 |
| 回転動画 | AI(AIで作った3Dモデルをブラウザで回して書き出した動画。約6秒・正方形・右下にFigmeeのロゴ) | 「AIで作った3Dの回転動画」 |
| 3Dを資料にして自分で描き直した絵 | あなた(どこまでが補助かは場の判断) | 場の決まりを確かめる |
Figmeeの共有リンクのページでは、3Dモデルと、アップロードした元のイラストが並んで表示されます。見る人にも「どの絵から作った3Dか」が伝わりますが、SNSの投稿文や作品の説明には、文例のような表記を別に書いておくのが確実です。公開の手順や、共有リンクで見える範囲は3Dモデルをネットで公開する方法にまとめています。
絵をアップロードする前に、その絵がAIの学習に使われないか、どこまで公開されるかを確かめたいときは、絵をアップロードするとAIの学習に使われる?をご覧ください。イラストから3Dを作る方法全体は、オリジナルフィギュアの作り方で、粘土や外部の3Dプリントと比べながら紹介しています。
よくある質問
自分の絵が元なら、「AI生成」と書かなくてもいいですか?
元の絵が自分の絵でも、3Dの部分はAIが作ったものです。「AI生成」に当たるかは場の定義で決まり、たとえばpixivは「制作過程のすべて、もしくはほとんどをAIで生成した作品」をAI生成作品としています。この記事では書かなくてよいとは勧めません。迷ったら、文例のように「絵は自分、3DはAI」と分けて書いてください。
3Dを資料にして、自分で描き直した絵にも表記は要りますか?
pixivは制作過程の「すべて、もしくはほとんど」をAIで生成したかどうか、コミティアはAIの出力結果が作品の「主体」かどうかで線を引いています。3Dを見ながら自分の手で描いた絵がどちらに当たるかは、その場の運営や主催が判断します。迷う場合は、投稿・頒布の前に問い合わせてください。
Instagramに3Dの回転動画を載せるとき、AIのラベルは必須ですか?
Metaのヘルプは、AIのラベルが求められうるのは写実的な動画やリアルな音声だと説明し、漫画のような画風の動画はラベルが要らない例に挙げています。フィギュア風の3Dの動画がどちらに当たるかはMetaが判断するため、この記事では断定しません。迷うなら、自分でAIのラベルを付け、投稿文にも「AIで作った3D」と書いておくと安心です。
まとめ
AI生成の表記は、①法律(国によって違い、個人の作品に当てはまるかは国・場・内容で変わる)、②場の決まり(pixivはAI生成作品のチェックが必須、Metaは写実的な動画・音声にラベルを求めることがある、コミティアはAIの出力を主体とした作品を出せない)、③見る人への礼儀、の3つに分けて考えます。自分の絵からAIで3Dを作ったときは、「イラストは自分で描いた」「3DはAIで作った」を一文で分けて書くのが基本です。投稿や頒布の前に、その場の最新の決まりを出典のページで確かめてから、自分の絵の3Dを見せてください。




